2008/07/19

土建業界にもスラグを使った偽装騒ぎ

どうも日本は数年前から「偽装王国」に化けたようだが、7月上旬に発覚して生コン偽装事件に溶融スラグが久しぶりに新聞に登場した:
時事通信:
生コン製造会社「六会コンクリート」(神奈川県藤沢市)がJIS(日本工業規格)製品として納入した生コンに、JISでは認められていないリサイクル骨材「溶融スラグ」を使っていたことが8日、分かった。

毎日新聞も:
同社の秋山広取締役営業部長は8日、取材に対し、混入の理由について「品質が良くなるうえ、リサイクルやエコ(環境保全)に協力できるのではないかと技術者が判断した」と釈明した。

2005年の耐震偽装事件以上に大変な問題になる可能性もある。スラグ入りの違反生コンが使われた工事は次々と見つかっている。16日には横浜で新たに3件が報道された:
生コン製造販売会社「六会コンクリート」(藤沢市亀井野)が砂の代わりに溶融スラグを混ぜたJIS規格外の生コンを納入していた問題で十六日、新たに横浜市内のマンションと介護老人保健施設の計三件で使用が判明した。いずれも工事を停止している。

 この事件について津川啓さんはブログ「循環型社会って何!」 で解説している。
先週明らかになった「生コンへの溶融スラグ使用」問題ですが、もともと溶融スラグはレッキとした廃棄物であり、これをJIS化したこと自体が間違いでした。

関連している話題として、不振続きの溶融スラグを食い物にするかのような商品を開発・発売する会社が現れたようだ。ハザマは溶融スラグのコンクリート膨張抑制剤を発売したようだ。「未利用の溶融スラグの資源化に貢献!」という見出しも付けて7月2日に発表しているが、「600トンで5億円の販売を見込む」というから、1トン約83万円。処理剤1トン当たりでどれくらいの溶融スラグを処理できるのかは不明。だけど処理剤1トンでスラグ10トンを処理できたとしても、スラグ1トン当たり8~9万円のコストがかかるわけで、そこまでしても「溶融スラグを使いたい!是非!!」という声があがるだろうか?特に生コン偽装発覚後では、かなり売りにくい商品だろう。。。

2008/07/16

検討委員会の性格について、環境会議諏訪が公開質問状

7月15日に環境会議諏訪の塩原俊会長と清水馨事務局長は茅野市・富士見町・原村広域ごみ処理協議会の会長である柳平千代一茅野市長を訪れ、同協議会が設置shたごみ処理基本方針検討委員会についての公開質問状を提出した。

(画像をクリックすると、公開質問状に移動)
公開質問状は特に委員長に選出された藤吉秀昭氏について:
委員長に互選された藤吉秀昭氏は、全国各地の焼却炉建設検討委員会や焼却炉の機種選定検討委員会の委員を歴任している方で、いわば全国で溶融炉を導入するための牽引役を努めている中心人物であると聞いております。
このような人物をわざわざ東京から招聘して、委員が検討する時間が無いまま、委員長に「選任」したことには、事務局の「特定の意図」を感ぜざるを得ません。

と指摘し、「この人事を見る限り、事務局がこの委員会の論議を「溶融炉容認」の方向に導こうと意図していることは明らかではありませんか。」としている。

2008/07/03

ごみ処理基本方針検討委員会委員名簿

ごみ処理基本方針検討委員会委員名簿 (H20/6/24 現在)は次の通り:

知識経験者
藤吉秀昭  工学博士 (財)日本環境衛生センター常務
奈良松範  工学博士 (学)東京理科大学諏訪東京理科大学大学院工学・マネジメント研究科教授
住民委員(茅野市)
河西允人  美サイクル茅野会長
演淳司   茅野市地球温暖化対策地域協議会会長
柳平昭平  有機物堆肥化研究会会長
伊藤正陽  農業(公募)
小林哲郎  保養所管理人(公募)
牛山晴一  前茅野市議会議員(公募)
住民委員(富士見町
駒澤吉郎  富士見町一般廃棄物減量等推進審議会委員
宮坂典利  富士見町一般廃棄物減量等推進審議会委員
宮川やよい 生活クラブ生協長野環境委員(公募)
エンジルジェルミ 翻訳業(公募)
住民委員(原村)
五味勇吉  原村保健衛生自治推進協議会会長
北田耕一郎 原村一般廃棄物減量等推進審議会会長
小林峰一  農業(公募)
設置規程第3条第2項第8号*委員
伊藤公夫  前茅野市議会議員
名取幸一  長野県A・コープ富士見店店長
五味光亮  原村商工会会長
行政委員
轟寛逸   長野県諏訪地方事務所環境課長
伊東松英  茅野市市民環境部生活環境課長
三井恵一  富士見町建設課長
日達 章  原村建設水道課長
西渾裕治  諏訪南清掃センター所長

委員会事務局
赤羽正義  茅野市市民環境部長(協議会事務局長)
金子明男  茅野市市民環境部生活環境課業務係長
小池正俊  富士見町建設課生活環境係長
鎌倉広司  原村建設水道課環境係長
五味正彦  南諏衛生センター所長
平出光   諏訪南清掃センター次長

* 設置規程第3条第2項第8号とは「前7号に上げる者(つまり知識経験者や住民委員)のほか協議会会長が特に必要と認める者5人以内」

公募枠委員の小論文紹介(2)

小林さんの小論文に続いて、富士見町の公募枠で検討委員会に入ったエンジェル・ジェルミの小論文を掲載します。

3市町村におけるごみの3Rと処理について   エンジェル ジェルミ

 昔から我が家で生ごみはコンポスト、その他の紙は資源物に回しているが、正確な数字を得るために、去年の3月から9月まで、すべての「可燃ごみ」、「プラスチック」、「生ごみ」と「その他の紙」の重さを計った。毎日の人数も記録を取り、データを分析したところ、次の二つの事実が判明した:
(1)我が家で1日1人当たりで排出される可燃ごみ(つまりごみステーションに出すごみ)の量は75グラム。これは茅野、原、富士見合わせての平均の6分の1以下ではないかと思う。
(2)「生ごみ」と「その他の紙」は全体(「可燃ごみ」+「プラスチック」+「生ごみ」+「その他の紙」)のおよそ7割を占める。これは富士見町の地区懇談会で挙げられた割合とだいたい一致している。
この結果が示すのは、生ごみとその他の紙をきちんと分別して、可燃ごみに入れないようにすれば、焼却炉行きは7割減るはずだという事だ。我が家でも、生ごみとリサイクル可能な紙をすべて分別しているからこそ、可燃ごみの排出を1日1人当たりわずか75グラムに抑えられている。
 言いかえれば、3市町村の平均である約500グラムという数字は、住民がごみステーションに出している可燃ごみの中に、生ごみと紙が未だにたくさん入っているためだ。よって、これからのごみの3R対策はまず、「生ごみ」と「その他の紙」の分別促進に焦点を合わせるべきだと思う。
 分別促進策として、「その他の紙」は徹底した啓発しかないと思うが、「生ごみ」は啓発とともに、分別処理のための体制作りも必要になる。
 啓発に関しては、富士見町を例に取れば、まだたくさんのことができると思う。たとえば有線放送は有効な手段だが、生ごみと紙の分別を中心としたごみの出し方についての呼び掛けを、少なくとも「犬の糞の始末」と同じぐらいの頻度で行った場合、かなり効果があるのではないか。同時にごみステーションや公民館、学校などの公共施設でのポースターの掲示、コミプラや役場ロビーなどに実際にどのように分別するのかの常時展示、町の配り物でのチラシなどによって、「しつっこいよ」と言われるぐらい、ごみ減量に対する町の強い姿勢を示すべきである。3市町村の首長も、資源物回収の手伝いや、自らの有線放送での呼び掛けなどで、その顔が見える形でごみ減量活動の先頭に立つことは大事だと思う。
 生ごみは、啓発もとても大事だが、それ以外のサポートも欠かせない。(1)庭先にコンポスターを置ける家庭なら、匂いやハエを抑えるための正しい使い方の啓発や、電気を使わない手動式バイオ型生ごみ処理機の利用促進、(2)庭のない家庭に関しては、たとえば下諏訪のように生ごみ収集や、小淵沢インターのやまとスーパーのように、スーパーなどで生ごみ処理機の設置を行政も積極的に支援すべきである。(やまとスーパーでは生ごみは買い物に使えるポイントにもなる。)
 常時受け入れを含めた生ごみの資源化体制作りは3R運動の中で一番お金のかかる部分だと思うが、可燃ごみの処理コストや環境面を考えると、十分に元が取れるはずです。今よりずっと徹底した啓発とともに、生ごみとその他の紙をきちんと分別し、いつでも受け入れる体制さえ作れば、かなりの改善が見込まれると思う。その過程で住民の3Rに対する意識も高まり、生ごみ分別も当たり前になる日がくるはずである。
 処理に関しては、たとえ可燃ごみを7割減らすことができたとしても、ごみは依然として発生するので、焼却施設とその灰を保管する場所が必要だが、その規模はうんと小さくなるはずだし、灰の量も少なくなる。環境面や原油高騰下の運営費の面から、灰の溶融化はもはや過去の技術と位置付けられつつあるが、金属類の枯渇に伴い、灰からほとんどの重金属を回収する技術も開発されつつあり、灰の一時保管の場所として山形村のサンクスBBのような屋根付き処分場も検討に値する。
 ここで詳しく触れるスペースはないが、ごみ減量のもう一つ非常に大事な面はごみの発生抑制である。またごみ減量推進会議の提言にもあったように、処理費を排出割にすることで、良い意味で3市町村の間にごみ減量競争が生まれ、大きな効果をもたらすはずだ。

公募枠委員の小論文紹介(1)

諏訪南行政事務組合の灰溶融炉建設計画の再検討に伴い、茅野市・富士見町・原村ごみ処理協議会が立ち上げられ、協議会において、ごみ処理基本方針検討委員会が設けられた。一部(6人)の委員は公募によって選ばれたが、その公募に当たって、応募者は「3市町村におけるごみの3Rと処理について」と言う小論文(40字詰めの原稿用紙4枚以内)の提出を求められた。(詳細:富士見町役場HP)協議会は提出された小論文の公開はしないということで、公募枠の複数の委員から、公開を希望してこちらに原稿を送りました。著者本人の希望であれば、公開はもちろん好ましいことであり、その第一弾として、八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワークの小林峰一さんの小論文をまず紹介します。

3市町村におけるごみの3Rと処理について               原村 小林峰一

 
地球温暖化が深刻さを増し、二酸化炭素の排出量が問題となっていますが、焼却大国日本では、ごみの焼却によって排出される二酸化炭素が3%を占めています。これまで、ごみは出るものとして、焼却や埋め立てにより処理してきた日本のごみ処理政策ですが、発生するごみ量の増大により、厳しい対応を迫られています。
 一方、ごみの減量化政策は、容器包装リサイクル法が、その費用負担の多くを、製造者ではなく、市民(自治体)に求めたことにより、地方自治体の財政を苦しめています。また、循環型社会形成推進基本法では、廃棄物処理・リサイクルの優先順位をリデュース、リユース、リサイクルと定めているのに、実際には、リサイクルから先に実行され、残念ながらリサイクルで終わっています。リユースやリデュースまで政策が進まない理由は、拡大生産者責任の導入が先送りされ、ごみ処理費用の大半を消費者が負担することになっているからです。その結果、多くの自治体では、焼却ごみが減るどころか、横ばいないしは増加傾向のままで、廃棄物処理費用の高騰が財政を圧迫しています。
 3市町村におけるごみ処理の現状も同じで、06年の状況では、可燃ごみが24957t/年排出され、増加傾向にあります。(対00年比で5.6%増)ごみの減量化については、10年までに、ごみの排出量を対00年比で20%減、焼却ごみに関しては25%減を目標としていますが、07年のごみ減量成果を見ても、3市町村全体で9,7%減(07年4月~10月末まで前年同期比)と、現状のままでは目標の達成が困難な状況にあります。
 このような現状を踏まえ、3市町村において、ごみの減量化(3R)をどのように進め、どのようなごみ処理を行ったら良いかについて考えてみます。
 減量化政策(3R)は、国の政策に振り回されることなく、現実的に、ごみが減る政策へ転換しなければなりません。資源物の分別収集(リサイクル)を徹底して行ない、焼却ごみの減量を図ることは重要ですが、リサイクルによる減量だけでは、財政負担が大きく、やがて行き詰まる可能性があります。よって、リデュースや、リユースを行うための仕組みを、条例や制度として早期に整備する必要があります。条例化の可能性として、①ごみの処理量に応じて負担を求める処理量割の導入。②事業系一般廃棄物の処理費用を現在より高く設定し、減量化を促す。③事業系一般廃棄物の全量を事業者処理とする。④一般廃棄物の処理ないしリサイクル費用について、事業者にも負担を求める。などが考えられます。まずは、処理量割の導入を急ぎ、自治体間に減量化の競争を促すことが必要です。
 ごみ処理政策は、発生抑制(ごみとなるものを製造・販売した業者に対して、廃棄までの責任を求めることで、ごみを発生段階から出さないようにする=リデュース)と排出抑制(ごみの中から、資源となるものを分別し再生する=リサイクルや、ごみにしないように繰り返し使用する=リユース)を真剣に行った後に、それでも残るごみをどう処理するかという考え方が必要です。その場合、現在稼動している焼却施設をできるだけ長く使い続けることが重要です。この焼却施設は、12年に耐用年数を迎えますが、焼却ごみの減量化が進めば、炉の寿命を延ばすことも可能です。建て替えが必要になった際には、同じ方式で、今よりも焼却規模を小さくする努力が必要です。焼却灰の処理については、現在行っている民間委託を継続し、その間に、浸出水が発生しない構造で、灰を保管しておく保管型の施設など、管理型最終処分場以外の方法についても研究を進める必要があります。
 いずれの政策においても、住民参加による政策づくりが大切ではないでしょうか。

2008/06/25

茅野・富士見・原ごみ処理方針再検討 委員会が初会合

6月25日の長野日報の記事です:


(画像をクリックするとウェブ記事に移動します)
委員長に選出されたのは、知識経験者として委員会に選ばれた藤吉秀昭さん。(財)日本環境衛生センターという団体の常務理事で、廃棄物処理技術にずっと携わってきた工学博士だそうです。時事通信のガス化溶融炉全国調査の結果発表に関連して、以前にもこのブログのここここに名前が登場している方で、東京二十三区清掃一部事務組合の溶融処理技術検討委員会専門委員会委員も務めている。
ごみ処理基本方針検討委員会は灰溶融炉建設と言う以前の基本方針を再検討するために設置されたもので、そうした中で藤吉氏の委員長選出がどういう意味を持っているか、目を光らせていく必要がありそう。

2008/04/21

灰溶融炉の白紙撤回までの道のり - 消費者リポート記事

日本消費者連盟の機関紙の3月27日号発行の1398号に、「灰溶融炉を考える会」呼びかけ人である小林峰一さんによる記事が掲載されました。日本消費者連盟の許可を得て、連盟への感謝をこめてここでも掲載します。白紙撤回までの道のりを簡潔にわかりやすく説明しています。 運動に加わった一人として読み返すと、色々な思い出が浮かんできます。
(画像をクリックすれば拡大される)

消費者リポートのヘッダーです:

2008/03/25

負担割を処理量割8割へ提言 諏訪南ごみ減量推進会議


(画像をクリックすると、オンライン記事へ移動する)

ちなみに3月の富士見町町議会の一般質問でエンジェル千代子議員は矢嶋町長に対して
負担割りのなかに排出割りを盛り込んでいくように提案していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

と質問したが、町長は「改めて見直しの申し出る考えはない」とまったく取り合ってくれなかった。
現状の「均等割2割と人口割8割」を「均等割2割とごみ処理量割(= 排出割)8割」とした諏訪南ごみ減量推進会議の提言を、矢嶋町長はどう受け止めているだろうか。。。
エンジェル議員の調査からも分かるように、処理量に基づいた負担割は今や主流になりつつあるし、ごみ減量の観点から考えても、最も合理的で自然な形である。諏訪南の組合理事者にも、地域の損得よりも、ごみ減量の効果を優先して、推進会議の処理量割8割提案を前向きに検討していただきたい。

生ごみの自家処理推進 富士見町が説明会


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2008/02/24

検討委員会設置についての提言

諏訪南行政事務組合の柳平組合長は灰溶融炉建設計画を一旦白紙に戻して、検討委員会を設置し、1年間をかけてこれから取るべき施策を再検討することを1月24日に発表した。その検討委員会は単に施設についての再検討で終わらせるのではなく、ごみ問題を根本的なところから見直すための議論を住民と行政がいっしょに行うことが重要だという考えの元で、私たち八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワークは環境会議・諏訪と環境ネットワーク茅野と一緒に、検討委員会についての提言を、2月21日に柳平組合長に提出した。
翌日の長野日報の一面にも取り上げられた:

組合長は私たちの話を真剣に聞いて、施設建設ありきの再検討ではないことなどを話してくれた。

2008/02/14

灰溶融炉建設白紙撤回 - 運動さらなる進化を

小林峰一
 1月24日に諏訪南行政事務組合議会の全員協議会が開催された。そこで組合長である茅野市長は、計画されていた灰溶融炉建設を再検討すると発表した。その理由として、燃料の灯油が高騰しており、維持管理費が当初の3億円では収まらないこと。建設予定地が県の急傾斜地危険地域に指定されることが確実となり、その対策に多額の費用を必要とすること。地元住民の合意が得られていないため建設のスケジュールが不透明であること。現在使っている焼却施設(茅野市米沢にあるストーカー炉)の更新時期が近づいて来たため、それも併せて総合的に検討する必要が出てきたことなどをあげている。組合長があげた理由から考えて、この発表は、事実上の白紙撤回を意味する。組合は、富士見町休戸への灰溶融炉建設を断念したのだ。
 私たちが、平成17年の12月に始めた住民運動は、多くの方々の協力によって実を結び、一つの結果を出すことが出来た。しかし、これで運動が終わったわけではない。この貴重な体験を自信として、これからは、ごみ問題の根本的な解決に向けての運動を始めなくてはならない。組合は、現在の焼却施設を更新する際に溶融炉を導入し、併せて最終処分場をどこかに確保しようと考えている。
 私たちは、「施設ありき」のごみ処理政策を根本的なところから見直す必要があると考えている。施設の計画を作る前に、まずは、ごみをどこまで減らせるか徹底的に議論すべきである。廃棄物の発生抑制と排出抑制につながる仕組みづくりに知恵を集めること。ごみ処理施設の運用にどれだけのお金(税金)を必要とするか?住民の負担を明確にし、すべて公開すること。これらについてどこまで迫れるか。運動の質も今までとは違うものになるだろう。
 組合は今後、来年度一年間かけ、ごみ減量の見通しや新しい最終処分場、10年後に建て替える必要のある清掃センターなどついて検討をしていくための検討委員会を設置する。そして、その委員を一部公募するとしている。数年前、蓼科ダム建設問題で設置された上川部会がそうであったように、今回、設置される諏訪南行政事務組合の検討委員会も、全国に発信できるような、先進的なごみ政策を提言できるよう期待される。そのために、我々も努力したいと思っている。

2008/02/11

夢のような技術は結局悪夢だったか

灰溶融炉ではなく、鉄鋼スラグの話だ。一般のごみからできたスラグとは性質が全然違う、この事件の背景にある問題は共通点が多くて、いかにも一般のスラグに当てはまりそうな。。。
2月8日の読売新聞から:
 千葉市と製鉄関連会社「JFEミネラル」(本社・東京都港区)は8日、同社製造の路盤材が舗装に使用されたアスファルト道路の一部で路面が隆起し、男性が軽傷を負ったと発表した。
 路盤材が雨水などと反応して膨張したのが、原因と見られるという。
...
 同社に道路の隆起が初めて報告されたのは、2005年末。その後も苦情が相次いだため調べたところ、昨年6月になって路盤材の膨張が原因と判明した。この路盤材はアスファルトやコンクリート廃材、ステンレス製造の際に副産物として出る「製鋼スラグ」などが原材料で02~03年に製造された。スラグの配合率が高かったため、水との化学反応で膨張した可能性が高いという。同社は「材料が数年も遅れて膨張するとは我々の知識にはなかった」としている。
...
市への報告は昨年11月下旬で、市は「早く知らせてもらえれば、それなりの対応ができた可能性がある」と同社の対応を批判した。
一般ごみやその灰から作ったスラグも、水と化学反応を起こす可能性は十分にある。膨張して隆起するぐらいなら、スラグの中からも色々な物質が溶出し、土壌汚染を起こす可能性も十分にある。技術を開発した会社は「材料が数年も遅れて膨張するとは我々の知識にはなかった」と言っているが、溶融化がいかにも未完成な技術であるかを象徴しているコメントだと思う。問題を報告するのに2年間がかかったのも、なんとなく典型的。

2008/02/08

計画の白紙撤回:富士見町の議会の受け止め方

富士見町の全員協議会の様子を伝えたエンジェル千代子町議の記事:
http://www.angelchiyoko.net/mt/archives/000506.html#more
他の議員からは「今まで、富士見町の議会でも議決され、灰溶融炉の建設で決まって進めてきた事を、組合長の一存でひっくり返されるのでは、議会なんかいらないじゃないか」「灰溶融炉の建設予定地の理事者として、翻意を促すべきだ」などなど...否定的な意見しか出てきませんでした。

矢嶋町長は「反対してきた人たちは、土地の買収なども責任を持ってやってもらわなければ困る」などと大きな声を出したようだが、町長も推進派の議員たちも、組合長がどんな思いで計画の見直しを決めたかを少しでも考えたのだろうか?

結局自治体に付けが回る業界の採算管理の甘さ:JFEも

東京23区のごみ問題を考える ブログより:
JFEホールディングスが2008年3月期に、ごみ処理プラント事業で500億円規模の特別損失を計上する見通しとなった。納入先の自治体と結んだ操業・保守請負契約のコストが予想以上に膨らんだため今後17年にわたって生じる損失を損失引当金として一括計上する。プラント業界ではIHIと荏原も巨額損失を計上。官公需低迷などを背景に激しい受注競争を繰り広げる同業界の採算管理の甘さが浮き彫りになった。

今になってやっと報道された去年6月の灰溶融炉事故

溶融炉から高温灰漏れ/那覇・南風原クリーンセンター 
【南風原】南風原町新川の那覇・南風原クリーンセンター(松田馨所長)で昨年六月、ガラス状の「スラグ」や金属質の「メタル」約四トンが灰溶融炉から漏れ出し、構内の操作盤や配管類を燃損させていたことが六日、分かった。

2008/02/01

チラシを富士見町、原村と茅野市に

2008年1月24日の断層調査結果報告前の1月20日に、私たち八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワークは新聞折り込みでチラシを富士見町(全紙)、原村(長野日報)と茅野市(長野日報)に配布しました。本当は原村でも茅野市でも全紙で配布したかった、かなりお金がかかるので、長野日報だけに絞った。その後、色々な方からカンパをいただき、非常に助かりました。皆様、本当にありがとうございます!。遅くなりましたが、チラシを掲載します。このチラシも多少組合長の計画再検討の英断につながったかな?
(画像をクリックすれば拡大される)

2008/01/25

理性の勝利!

今日の長野日報の記事です:
(画像をクロックすると、ウェブ記事へ飛ぶ)


昨日、1月24日には諏訪南行政事務組合の議員の全員協議会があり、地質調査の結果が報告されました。地質調査の結果は、予定地にはこれと言う問題がないと言うものでした。
(予定地直下に活断層が見つからなかったことに基づいた結論ですが、十数キロ離れた活断層の動きも大きな影響を与えることは柏崎原発の件で分かっています。休戸の予定地のすぐ近くに若宮断層があり、直下に断層がないからと言って、「問題ない」という結論を出すことには異論がある。いずれこの件についてまた報告します。)

その後、組合長より発表がありました
・灰溶融炉を決めた時とは状況が変わってきた。
・原油の高騰もあり、ランニングコストが3億円/年では納まらなくなるだろう。
・県の急傾斜地の指定が確実視され、それに対応する工事に多額の費用を要する。
・平成29年度には現在の茅野市の焼却施設の更新時期になる。
・新しい処分場のも含め、総合的に見直す。
・平成20年一年かけて検討していきたい。

といった内容の発表でした。
灰溶融炉は選択肢の一つと言いましたが、ここまで言ったからには、
「灰溶融炉」がお膳の上に再び乗ってくる可能性はないと思います。
実質、白紙撤回ということと理解して良いとお思う。

何が何でもごり押しで計画を進めようとした前政権(矢崎前茅野市長)の姿勢を考えると、今回の決定は現組合長の柳平茅野市長による英断だと思う。(副組合長の矢嶋町長や推進派議員たちはそう思っていないでしょうが。。。)
しかし、たとえ原油価格など、状況が数年前と変わっていなくても、この計画は組合が勉強もせずに、最初から「お上」の言うことを鵜呑みにした、問題だらけのものでした。そういう意味で白紙撤回は理性の勝利だと言えると思います。反対の声が上がらなかったら、建設計画が多くの問題を秘めながらとっくに進んでいたはず。それを考えると、これはまた私たちの運動の勝利でもあります。協力して下さった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

本当にありがとうございました!

これで、ごみ問題の解決を探る本質的な議論の出発点にようやく立ったと思います。組合は検討委員会を設置し、その議論に入ると言っているが、再び誤った方向に走らないようにするために、ぜひとも灰溶融炉に疑問をかけた側からの人や、政府の溶融炉推進政策に異論を唱えてきた専門家をも委員会のメンバーに参加させていただきたいものです。

2008/01/22

「よりよい方向性を示さないといけない」と柳平組合長

灰溶融炉建設計画の白紙撤回を求める署名の提出を伝える1月22日の長野日報の記事です:
(画像をクリックすれば、ウェブ記事が表示される)

署名用紙の束を手渡された柳平組合長は、
「ごみの問題は行政として責任を持ってやるべきこと。よりよい方向性を示さないといけない。皆さんの気持ちはしっかり受けとめる」
と述べました。生ゴミ処理など、灰溶融炉より良い方向性はたくさんあるし、「こんなはずじゃなかった」ものに莫大な税金を投入する前に、是非ともそれらの方向性を探っていただきたいものです。私たちもそのために協力を惜しみません。

2008/01/21

署名の最終結果が物語る地元の反対



今日、ネットワークのメンバーの代表が灰溶融炉建設計画の白紙撤回を求める2,100人分の署名(詳細はここをクリック)を柳平組合長に提出をしました。うち1,389人は富士見町の住民で、またそのうちの977人が建設予定地の近隣区の住民です。
近隣区の住民たちの意向を把握することが署名集め活動の最大の目的でしたが、計画を白紙撤回してほしい住民の多さには私たちも驚きました。実際に住民に面会できた家庭は532戸で、全体のおよそ9割と思われます。そのうちの74.8%の家庭で、少なくとも一人の方に署名をしていただきました。
数回の説明会を開き、「地元の理解を得た」と宣言するのは役場の常ですが、今回はこの結果を前にそのようなことは言えないと思います。
去年の11月に途中結果を発表したときに、
このような問題に対して署名と言う形で意思表示をすることは大変勇気の要ることで、これだけ大勢の地元の方々から署名をいただいたことはこの計画に対する皆様の気持ちの強さを物語っていると言えると思います。署名してくださった皆様、本当にありがとうございます。または建設に反対だが、立場上署名できない方も相当いましたが、それでも私たちの話に真剣に耳を傾けてくださったことは心強かったです。ありがとうございました。

と書いたのですが、改めて近隣区の皆様に感謝の意を表したいです。この結果は組合にとって間違いなく「不都合な真実」ですが、この真実を真摯に受け止めてもらいたい。日に日に溶融施設の問題点が明らかになってきています。方針変更はまだ可能ですし、この際もう一度真剣に計画の見直しを求めたいところです。

2008/01/06

環境会議・諏訪の2008年1月号の通信に記載されている小林桂子さんの原稿をここにも掲載させていただきます。

灰溶融炉は要らない!    原村 コバヤシケイコ  
平成19年12月2日に、弁護士の集団「自由法曹団」の皆さんが、灰溶融炉の建設予定地の休戸を視察した。これまで各地の環境問題、産廃などを扱って、どこも勝訴しているという頼もしい弁護士さんたちだ。その上、弁護士費用は奉仕だというありがたい助っ人。
 裁判などというものの知識がまるでない私たちに、いろいろと教授してくれた。まず、茅野、富士見、原の住民なら誰でも起こせる「住民訴訟」。組合が、税金を灰溶融炉などというムダなものに使っているという、無駄な経費に対して訴訟するもので、1人でも出来て裁判所への印紙は1万円コッキリだそうだ。

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自由法曹団による富士見町休戸の視察。
マイクを持つ松村弁護士の解説を聞く参加者

 
三市町村には、住んでいないが、予定地の川向こうで被害だけは被る可能性の高い山梨県民ならば、近隣地区で被害を受ける人が起こす「差止訴訟」が出来る。
 確かに、18億円で建設して、さらに稼動させるために、底抜けに、莫大なお金がかかる。通常稼動で年間3億円、故障や事故があれば、底抜けに出費する。それに対する費用対効果がどのくらいか?組合が言い張る売れるスラグが、もし売れなかったら、結局は、そのスラグの山をどこに置くのか?最終処分場に戻すのであれば、すぐに満杯になる。最終処分場があと数十年延命されるという目的で灰溶融炉導入すると言っているのに、もし、5年や10年で満杯になってしまったら、一体誰が責任をとるのだろうか?目的が達成できない上に、かなりの財政負担になる。
 また、10年間で52億円かけるのであれば、他にもっと良い方法はないものか?「生活をすれば必ずゴミが出るから仕方ない」とヒトは言うけれど、生活スタイルだけでゴミが減る。生ゴミは自家処理、プラスチック類は資源回収へ、紙類全般、小さな紙切れさえも封筒に入れて資源回収へ、それだけで、我家の可燃ゴミは、1人1日160gになった。平均一般家庭の4分の1、つまり25%になる。これは、10年で満杯になる最終処分場が、40年持つということになる。よっぽど灰溶融炉導入より、優れているのでは?
「それは、理想論だよ」という声が聞こえてきそうだが、決して無理なことではない。日本人はかなり優秀だ。地球温暖化で消えていく島や環境難民、絶滅する動植物のことを思えば、誰だって、大量の使い捨てゴミを燃やすことに躊躇するだろうし、ましてやその灰を莫大なエネルギーを使って溶融する灰溶融炉なんてモノは、許せないはずだ。静岡市の灰溶融炉では、年間維持費の3分の1が燃料費だというから、諏訪南で計画する灰溶融炉も、年間数千万円から1億円の燃料代がかかるかもしれないのだ。それだけ余分に温暖化に拍車をかけるということになる。他で例がない掘り起こしなどしてまでもやる必要があるのだろうか?
最近のニュースで、平成19年11月に富山県高岡市の灰溶融炉の計画が取り止めになった。高岡地区広域圏事務組合議会は、「他の自治体での導入実績や建設費用、管理費用等の経済性、安全性、環境問題等について慎重に検討、協議を行った結果、灰溶融炉の事故の発生等や溶融スラグの有効利用が進んでいない実態を把握することができた。これを裏づけるように、近年、溶融を取りやめる動きが見られる。」と報告している。ここでは、放電型灰溶融方式の検討だったが、「我が組合では、別の溶融方式だから、問題ない」という声が聞こえてきそうだが、自由法曹団の松村弁護士は、灰溶融炉の構造がいろいろあるということは、逆に、技術が確立していないという証拠だと言いきる。
また、11月の通信で紹介した佐賀県の鳥栖・三養基西部環境施設組合のごみ処理施設を管理委託されている住友金属工業が、5年間の保証期間を過ぎたら、撤退をする意向を示した問題で、継続にあたっては、現在の2倍にあたる年間12億円の委託費を求めているという。
…やっぱり、灰溶融炉は要らない!