2008/07/03

公募枠委員の小論文紹介(1)

諏訪南行政事務組合の灰溶融炉建設計画の再検討に伴い、茅野市・富士見町・原村ごみ処理協議会が立ち上げられ、協議会において、ごみ処理基本方針検討委員会が設けられた。一部(6人)の委員は公募によって選ばれたが、その公募に当たって、応募者は「3市町村におけるごみの3Rと処理について」と言う小論文(40字詰めの原稿用紙4枚以内)の提出を求められた。(詳細:富士見町役場HP)協議会は提出された小論文の公開はしないということで、公募枠の複数の委員から、公開を希望してこちらに原稿を送りました。著者本人の希望であれば、公開はもちろん好ましいことであり、その第一弾として、八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワークの小林峰一さんの小論文をまず紹介します。

3市町村におけるごみの3Rと処理について               原村 小林峰一

 
地球温暖化が深刻さを増し、二酸化炭素の排出量が問題となっていますが、焼却大国日本では、ごみの焼却によって排出される二酸化炭素が3%を占めています。これまで、ごみは出るものとして、焼却や埋め立てにより処理してきた日本のごみ処理政策ですが、発生するごみ量の増大により、厳しい対応を迫られています。
 一方、ごみの減量化政策は、容器包装リサイクル法が、その費用負担の多くを、製造者ではなく、市民(自治体)に求めたことにより、地方自治体の財政を苦しめています。また、循環型社会形成推進基本法では、廃棄物処理・リサイクルの優先順位をリデュース、リユース、リサイクルと定めているのに、実際には、リサイクルから先に実行され、残念ながらリサイクルで終わっています。リユースやリデュースまで政策が進まない理由は、拡大生産者責任の導入が先送りされ、ごみ処理費用の大半を消費者が負担することになっているからです。その結果、多くの自治体では、焼却ごみが減るどころか、横ばいないしは増加傾向のままで、廃棄物処理費用の高騰が財政を圧迫しています。
 3市町村におけるごみ処理の現状も同じで、06年の状況では、可燃ごみが24957t/年排出され、増加傾向にあります。(対00年比で5.6%増)ごみの減量化については、10年までに、ごみの排出量を対00年比で20%減、焼却ごみに関しては25%減を目標としていますが、07年のごみ減量成果を見ても、3市町村全体で9,7%減(07年4月~10月末まで前年同期比)と、現状のままでは目標の達成が困難な状況にあります。
 このような現状を踏まえ、3市町村において、ごみの減量化(3R)をどのように進め、どのようなごみ処理を行ったら良いかについて考えてみます。
 減量化政策(3R)は、国の政策に振り回されることなく、現実的に、ごみが減る政策へ転換しなければなりません。資源物の分別収集(リサイクル)を徹底して行ない、焼却ごみの減量を図ることは重要ですが、リサイクルによる減量だけでは、財政負担が大きく、やがて行き詰まる可能性があります。よって、リデュースや、リユースを行うための仕組みを、条例や制度として早期に整備する必要があります。条例化の可能性として、①ごみの処理量に応じて負担を求める処理量割の導入。②事業系一般廃棄物の処理費用を現在より高く設定し、減量化を促す。③事業系一般廃棄物の全量を事業者処理とする。④一般廃棄物の処理ないしリサイクル費用について、事業者にも負担を求める。などが考えられます。まずは、処理量割の導入を急ぎ、自治体間に減量化の競争を促すことが必要です。
 ごみ処理政策は、発生抑制(ごみとなるものを製造・販売した業者に対して、廃棄までの責任を求めることで、ごみを発生段階から出さないようにする=リデュース)と排出抑制(ごみの中から、資源となるものを分別し再生する=リサイクルや、ごみにしないように繰り返し使用する=リユース)を真剣に行った後に、それでも残るごみをどう処理するかという考え方が必要です。その場合、現在稼動している焼却施設をできるだけ長く使い続けることが重要です。この焼却施設は、12年に耐用年数を迎えますが、焼却ごみの減量化が進めば、炉の寿命を延ばすことも可能です。建て替えが必要になった際には、同じ方式で、今よりも焼却規模を小さくする努力が必要です。焼却灰の処理については、現在行っている民間委託を継続し、その間に、浸出水が発生しない構造で、灰を保管しておく保管型の施設など、管理型最終処分場以外の方法についても研究を進める必要があります。
 いずれの政策においても、住民参加による政策づくりが大切ではないでしょうか。

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