2007/12/30

推進してきた専門家も警鐘を鳴らしている

廃棄物政策の専門家津川啓さんは循環型社会って何!と言う自分のブログで、先日の時事通信のガス化溶融炉全国調査の結果を伝えた神戸新聞の記事について興味深い解説をしている。
神戸新聞、長野日報両方の記事にも登場する日本環境衛生センターの藤吉秀昭理事も、神戸新聞の記事に登場する岡山大大学院環境学研究科の田中勝教授(廃棄物工学)も、溶融施設推進を含め、国の廃棄物処理政策の中心的な役割を果たしてきた方だと言う。
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津川さんによると、藤吉氏は「全国の清掃施設建設に係る委員会や機種選定委員になって溶融路線を推進した中心人物」であり、田中教授は「旧厚生省時代から現在に至るまで、国の廃棄物政策に積極的に関わってきた」方だそうだ。
津川さんはさらにこう書いている:
結論からいえばガス化溶融炉(灰溶融炉)はもともと欠陥技術だったのである。したがって「瑕疵担保期間が終ったから自治体のコスト負担が重くのしかかった」わけではなく、最初からメーカーと旧厚生省が組んで自治体を食い物にしたというに過ぎない。その意味で自治体側はあまりにも無防備であった。むしろ国庫補助金が欲しいため、メーカーの甘い誘いに乗って、住民の批判に一切耳を貸さなかったのが大半の自治体であった。

私たちネットワークも、事故の恐れ、環境汚染の危険性、休戸地区の地質の問題などとともに、ランニングコストについて指摘してきましたが、組合は私たちの意見にやはりまったく耳を傾けたことはない。時事通信の調査結果はコストについての私たちの主張をほぼ全面的に裏付けている。溶融炉政策を推進してきた方々が今になって「基本的な課題をクリアしないまま実機に移した技術もあり、影響が出始めている」(藤吉氏)や、「市民はもう少し税金がどのように使われているのか関心を持つ必要がある」(田中教授)と言っている以上、「反対派がまた騒いでいるだけだ」では済まない。組合は時事通信の調査結果をしっかり肝に銘じてこれからのことを考えた方がよさそう。

2007/12/25

ガス化溶融炉: かさむ補修費が自治体を圧迫 


ガス化溶融炉の話だが、時事通信がこの間全国調査したところ、導入した自治体の多くは予想外に高い補修費に苦しんでいることが判明した。時事通信の調査結果は12月25日の長野日報(上の写真)など、多くのメディアに取り上げられている。
まず時事通信:
多くの施設が2002年の規制強化を機に運転を開始。メーカーが無償修理する2~5年の保証期限が切れ、負担が表面化し始めた。一部の自治体では財政を圧迫する恐れもあるという。

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神戸新聞もかなり長い記事を掲載している。その中で日本環境衛生センターの藤吉秀昭理事は
「基本的な課題をクリアしないまま実機に移した技術もあり、影響が出始めている」

としているし、岡山大大学院環境学研究科の田中勝教授(廃棄物工学)は
「小 規模施設に向く特性があるものの、大都市は新技術を厳しく評価したため、あまりガス化溶融炉を選んでいない。外国で失敗した技術が流行しているのは、日本 では新しい技術は「より良い技術だ」と評価する傾向も影響したと思う。メーカーは安く仕事を取って後から回収するので、維持管理費が高くなりがち。市民は もう少し税金がどのように使われているのか関心を持つ必要がある」

と言っている。
「諏訪南行政事務組 合が作ろうとしているのはガス化溶融炉ではなく灰溶融炉だから、そんな話は関係ない」と考える人もいるかもしれませんが、とんでもない。灰溶融炉もまった く同じような未熟な技術だし、エネルギー分がほとんど含まれていない灰を溶融するので、高騰を続けている灯油などの燃料代、むしろランニングコストはガス 化溶融炉よりも高くつく。
組合は維持費が年3億円ぐらいになると説明してきているが、溶融化のための燃料の高騰で3年間の瑕疵担保期間の間でもと てもその程度では済まないと思われる。そしてこの調査結果が示すのは、瑕疵担保の期限が切れた後、補修費が重く伸し掛かり、ランニングコストはさらに跳ね 上がるという事だ。
地元住民の大半がすでに計画の白紙撤回を求めているし、予定地の地質の問題や溶融炉による環境汚染の恐れもある。どう見ても、灰溶融炉の建設はやめるべき。

2007/12/24

生ゴミを回収するスーパー

小淵沢インターを出て左側に生ゴミを持っていくと
ポイントがもらえる「やまと」というスーパーがあります。

このスーパーには、1日150㎏の処理能力をもつ生ゴミ処理機が
置いてあり、ポイントカードを持っている会員が生ゴミを
持ち込むと1回の利用で5ポイントもらえます。
(生ゴミをはかりに乗せてから、ポイントカードを入れると
処理機のフタの鍵が解除される仕組みになっています)

このスーパーでは、200円買うと1ポイントもらえ
500ポイント貯まると500円の買い物商品券がもらえるそうです。

スーパーで処理された堆肥(半熟堆肥)は、別な場所で
完熟堆肥まで仕上げられ(委託)その後、地域の農業生産者
グループに無料で提供されます。
その有機堆肥を使って栽培した野菜の一部は、スーパーが買い入れ
店頭で販売されています。

このスーパーのように生ゴミを資源として活用する
お店が出てきたことは、ごみ問題を考える上でとても明るいニュースです。
現在焼却しているゴミの中から、いかにして資源を救い出すか。
行政と企業と住民が力を合わせて考えたいテーマです。



2007/12/04

自由法曹団長野県支部の弁護士5名が予定地視察

12月2日に自由法曹団長野支部の弁護士5名が予定地を視察し、住民と意見交換をしました。
12月3日の長野日報の記事です(とりあえず):
(画像をクリックすると、ウェブ記事へ飛ぶ)

とても有意義な視察だったと思います。若宮公民館での話し合いも今後の活動には大変参考になりました。弁護士の皆様、企画した皆様、本当にありがとうございました。

2007/12/02

高岡地区広域圏事務組合で灰溶融炉の建設を中止

平成19年11月2日に富山県高岡地区広域圏事務組合議会で灰溶融炉の建設を行わないことが報告された。
こ れは、10月30日の理事会での決定を受けてのものだ。高岡地区広域圏事務組合を構成する高岡市、氷見市、小矢部市は、平成19年7月2日にごみ 処理施設技術検討委員会から出された「灰溶融施設導入については、運転事故リスク等を考慮して慎重な対応を要する」との答申を十分尊重し、他の自治体での 導入実績や建設費用、管理費用等の経済性、安全性、環境問題等について慎重に検討、協議を行ってきた。

検討の結果として以下のような報告があった(議員協議会資料より)
  • 全国の先進都市での灰溶融炉について、調査や行政視察を行ってきたところ、灰溶融炉の事故の発生等や溶融スラグの有効利用が進んでいない実態が把握することができた。
  • これを裏付けるように、近年、溶融を取りやめる動きが見られる。
  • 溶融固化設備を設置しなくても、国の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の目標値を確保できる見通しである。
灰溶融炉を設置しないことのメリットとして以下があがっている(議員協議会資料より)
  1. 灰溶融に必要な運転管理費等が必要ないこと。[経済性]
  2. 灰溶融炉(24トン/日)の建設費が削減されること。[経済性]
  3. 5年毎に大幅な修繕(灰溶融炉の炉壁の改修等)は必要ないこと[経済性]
  4. 溶融スラグの有効利用が難しい(特に、公共事業に左右される等の問題が多い)ため、溶融スラグのストックヤードを確保しなければならないが、その必要がなくなり建設費が削減されること。[経済性]
  5. 灰溶融炉の事故、トラブルのリスクが生じないこと。[安全性]
  6. 灰溶融を行わないことにより、CO(一酸化炭素)の削減につながること。[環境問題]
  7. 売電量の増加が見込めること(灰溶融炉で消費される電力が不要となり売電ができる。その電力をCO2換算すると約500㎏-CO2/kwhの温室効果ガスの発生抑制となる。)[環境問題]
高岡地区広域圏事務組合は、以上の理由から灰溶融炉ではなく従来型の焼却施設(ストーカー炉)が望ましいとの結論に至っている。
諏訪南行政事務組合の理事者と組合議員にも良識ある判断を期待したいものだ。