2008/01/25

理性の勝利!

今日の長野日報の記事です:
(画像をクロックすると、ウェブ記事へ飛ぶ)


昨日、1月24日には諏訪南行政事務組合の議員の全員協議会があり、地質調査の結果が報告されました。地質調査の結果は、予定地にはこれと言う問題がないと言うものでした。
(予定地直下に活断層が見つからなかったことに基づいた結論ですが、十数キロ離れた活断層の動きも大きな影響を与えることは柏崎原発の件で分かっています。休戸の予定地のすぐ近くに若宮断層があり、直下に断層がないからと言って、「問題ない」という結論を出すことには異論がある。いずれこの件についてまた報告します。)

その後、組合長より発表がありました
・灰溶融炉を決めた時とは状況が変わってきた。
・原油の高騰もあり、ランニングコストが3億円/年では納まらなくなるだろう。
・県の急傾斜地の指定が確実視され、それに対応する工事に多額の費用を要する。
・平成29年度には現在の茅野市の焼却施設の更新時期になる。
・新しい処分場のも含め、総合的に見直す。
・平成20年一年かけて検討していきたい。

といった内容の発表でした。
灰溶融炉は選択肢の一つと言いましたが、ここまで言ったからには、
「灰溶融炉」がお膳の上に再び乗ってくる可能性はないと思います。
実質、白紙撤回ということと理解して良いとお思う。

何が何でもごり押しで計画を進めようとした前政権(矢崎前茅野市長)の姿勢を考えると、今回の決定は現組合長の柳平茅野市長による英断だと思う。(副組合長の矢嶋町長や推進派議員たちはそう思っていないでしょうが。。。)
しかし、たとえ原油価格など、状況が数年前と変わっていなくても、この計画は組合が勉強もせずに、最初から「お上」の言うことを鵜呑みにした、問題だらけのものでした。そういう意味で白紙撤回は理性の勝利だと言えると思います。反対の声が上がらなかったら、建設計画が多くの問題を秘めながらとっくに進んでいたはず。それを考えると、これはまた私たちの運動の勝利でもあります。協力して下さった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

本当にありがとうございました!

これで、ごみ問題の解決を探る本質的な議論の出発点にようやく立ったと思います。組合は検討委員会を設置し、その議論に入ると言っているが、再び誤った方向に走らないようにするために、ぜひとも灰溶融炉に疑問をかけた側からの人や、政府の溶融炉推進政策に異論を唱えてきた専門家をも委員会のメンバーに参加させていただきたいものです。

2008/01/22

「よりよい方向性を示さないといけない」と柳平組合長

灰溶融炉建設計画の白紙撤回を求める署名の提出を伝える1月22日の長野日報の記事です:
(画像をクリックすれば、ウェブ記事が表示される)

署名用紙の束を手渡された柳平組合長は、
「ごみの問題は行政として責任を持ってやるべきこと。よりよい方向性を示さないといけない。皆さんの気持ちはしっかり受けとめる」
と述べました。生ゴミ処理など、灰溶融炉より良い方向性はたくさんあるし、「こんなはずじゃなかった」ものに莫大な税金を投入する前に、是非ともそれらの方向性を探っていただきたいものです。私たちもそのために協力を惜しみません。

2008/01/21

署名の最終結果が物語る地元の反対



今日、ネットワークのメンバーの代表が灰溶融炉建設計画の白紙撤回を求める2,100人分の署名(詳細はここをクリック)を柳平組合長に提出をしました。うち1,389人は富士見町の住民で、またそのうちの977人が建設予定地の近隣区の住民です。
近隣区の住民たちの意向を把握することが署名集め活動の最大の目的でしたが、計画を白紙撤回してほしい住民の多さには私たちも驚きました。実際に住民に面会できた家庭は532戸で、全体のおよそ9割と思われます。そのうちの74.8%の家庭で、少なくとも一人の方に署名をしていただきました。
数回の説明会を開き、「地元の理解を得た」と宣言するのは役場の常ですが、今回はこの結果を前にそのようなことは言えないと思います。
去年の11月に途中結果を発表したときに、
このような問題に対して署名と言う形で意思表示をすることは大変勇気の要ることで、これだけ大勢の地元の方々から署名をいただいたことはこの計画に対する皆様の気持ちの強さを物語っていると言えると思います。署名してくださった皆様、本当にありがとうございます。または建設に反対だが、立場上署名できない方も相当いましたが、それでも私たちの話に真剣に耳を傾けてくださったことは心強かったです。ありがとうございました。

と書いたのですが、改めて近隣区の皆様に感謝の意を表したいです。この結果は組合にとって間違いなく「不都合な真実」ですが、この真実を真摯に受け止めてもらいたい。日に日に溶融施設の問題点が明らかになってきています。方針変更はまだ可能ですし、この際もう一度真剣に計画の見直しを求めたいところです。

2008/01/06

環境会議・諏訪の2008年1月号の通信に記載されている小林桂子さんの原稿をここにも掲載させていただきます。

灰溶融炉は要らない!    原村 コバヤシケイコ  
平成19年12月2日に、弁護士の集団「自由法曹団」の皆さんが、灰溶融炉の建設予定地の休戸を視察した。これまで各地の環境問題、産廃などを扱って、どこも勝訴しているという頼もしい弁護士さんたちだ。その上、弁護士費用は奉仕だというありがたい助っ人。
 裁判などというものの知識がまるでない私たちに、いろいろと教授してくれた。まず、茅野、富士見、原の住民なら誰でも起こせる「住民訴訟」。組合が、税金を灰溶融炉などというムダなものに使っているという、無駄な経費に対して訴訟するもので、1人でも出来て裁判所への印紙は1万円コッキリだそうだ。

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自由法曹団による富士見町休戸の視察。
マイクを持つ松村弁護士の解説を聞く参加者

 
三市町村には、住んでいないが、予定地の川向こうで被害だけは被る可能性の高い山梨県民ならば、近隣地区で被害を受ける人が起こす「差止訴訟」が出来る。
 確かに、18億円で建設して、さらに稼動させるために、底抜けに、莫大なお金がかかる。通常稼動で年間3億円、故障や事故があれば、底抜けに出費する。それに対する費用対効果がどのくらいか?組合が言い張る売れるスラグが、もし売れなかったら、結局は、そのスラグの山をどこに置くのか?最終処分場に戻すのであれば、すぐに満杯になる。最終処分場があと数十年延命されるという目的で灰溶融炉導入すると言っているのに、もし、5年や10年で満杯になってしまったら、一体誰が責任をとるのだろうか?目的が達成できない上に、かなりの財政負担になる。
 また、10年間で52億円かけるのであれば、他にもっと良い方法はないものか?「生活をすれば必ずゴミが出るから仕方ない」とヒトは言うけれど、生活スタイルだけでゴミが減る。生ゴミは自家処理、プラスチック類は資源回収へ、紙類全般、小さな紙切れさえも封筒に入れて資源回収へ、それだけで、我家の可燃ゴミは、1人1日160gになった。平均一般家庭の4分の1、つまり25%になる。これは、10年で満杯になる最終処分場が、40年持つということになる。よっぽど灰溶融炉導入より、優れているのでは?
「それは、理想論だよ」という声が聞こえてきそうだが、決して無理なことではない。日本人はかなり優秀だ。地球温暖化で消えていく島や環境難民、絶滅する動植物のことを思えば、誰だって、大量の使い捨てゴミを燃やすことに躊躇するだろうし、ましてやその灰を莫大なエネルギーを使って溶融する灰溶融炉なんてモノは、許せないはずだ。静岡市の灰溶融炉では、年間維持費の3分の1が燃料費だというから、諏訪南で計画する灰溶融炉も、年間数千万円から1億円の燃料代がかかるかもしれないのだ。それだけ余分に温暖化に拍車をかけるということになる。他で例がない掘り起こしなどしてまでもやる必要があるのだろうか?
最近のニュースで、平成19年11月に富山県高岡市の灰溶融炉の計画が取り止めになった。高岡地区広域圏事務組合議会は、「他の自治体での導入実績や建設費用、管理費用等の経済性、安全性、環境問題等について慎重に検討、協議を行った結果、灰溶融炉の事故の発生等や溶融スラグの有効利用が進んでいない実態を把握することができた。これを裏づけるように、近年、溶融を取りやめる動きが見られる。」と報告している。ここでは、放電型灰溶融方式の検討だったが、「我が組合では、別の溶融方式だから、問題ない」という声が聞こえてきそうだが、自由法曹団の松村弁護士は、灰溶融炉の構造がいろいろあるということは、逆に、技術が確立していないという証拠だと言いきる。
また、11月の通信で紹介した佐賀県の鳥栖・三養基西部環境施設組合のごみ処理施設を管理委託されている住友金属工業が、5年間の保証期間を過ぎたら、撤退をする意向を示した問題で、継続にあたっては、現在の2倍にあたる年間12億円の委託費を求めているという。
…やっぱり、灰溶融炉は要らない!