2006/11/27

灰溶融炉施設整備計画の何が問題なのか:ゴミ弁連の梶山正三会長による講演会 (katsudo)


11月18日には環境会議・諏訪の後援をいただき、ごみ問題に関する講演会を開催しました。講演者は、弁護士で理学博士でもあるゴミ弁連会長の梶山正三さんでした。

梶山先生の依頼で、諏訪南行政事務組合から出されているごみ処理計画書や灰溶融施設の計画に関する詳しいデーターを前もって送りました。講演では、先生はそれらのデーターを基に、灰溶融施設全般の問題に留まらず、今後3市町村のごみ問題を考える上で大変参考になる講演をして下さいました。(つづく)

私たち八ヶ岳周辺のゴミ問題を考えるネットワークは組合の理事者と議員の方々を初め、茅野市、富士見町、原村のそれぞれの議員や、ごみ減量推進会議、または公害防止協定の締結を模索している地元の集落にも講演会の案内状を送りましたが、70人ぐらいの出席者の中には残念ながらその方々の姿は少なかったです。
いずれにせよこの問題にどちら側に立っても大変有意義な話だったので、これからその内容を有効利用して、広く伝えたいと思います。
まず、梶山先生が提供してくれた講演のレジュメを載せます:

灰溶融炉施設整備計画の何が問題なのか

1 灰溶融炉ってなんだろう~歴史的経緯・構造・機能
 (1) 溶融炉の種類と歴史~見捨てられた技術が、なぜ?
 (2) ガス化溶融炉と灰溶融炉~一般的なフローと特徴
 (3) スラグとメタルの再資源化?

2 灰溶融炉導入がもたらすもの~危険性と財政負担
 (1) 灰溶融炉の不経済性
  ・原理的な不経済性
  ・ガス化溶融炉と比べてみると
  ・イニシャルコストとランニングコスト
  ・耐用年数から見ると

 (2) 灰溶融炉のもたらす危険
  ・灰溶融は、何のため?
  ・「減容と有害物質封じ込め」はほんとうか?
  ・メーカーは「危険性」を知らない?
  ・排出される有害物質とバグフィルター神話の嘘
  ・掘り起こし物と焼却灰、飛灰を「混合処理」することの危険

3 これからのゴミ行政における灰溶融の意味~灰溶融なんて要らない。
 (1) ゴミ排出量と将来推計
  ・家庭系の原単位が大きすぎる
  ・事業系と家庭系の将来推計
  ・まず、事業系をオミットしよう
(2) 既存の処理システムと処理施設は?
  ・最終処分場と埋立物~中間覆土・即日覆土は?
  ・最終処分場と焼却施設はいつまで使えるの?

(3) 広域化計画に未来はあるか?
  ・そもそも「広域化」とは
  ・広域化の持つ2つの意味
  ・本件の「広域化計画」は適切か?
  
(4) 灰溶融の「位置づけ」の誤り
  ・財政的な誤り
  ・耐用年数からみた誤り
  ・将来推計から見た誤り
  ・広域化計画から見た誤り

4 地域住民は何をなすべきか~公害防止協定の危険性と欺瞞性
 (1) まず、問題意識の共有から
  ・住民自治と団体自治~地域の生活環境の保全は憲法で保障
  ・廃棄物処理基本計画を「住民の目」で見てみよう
  ・初心に帰って計画を見直す
  ・原単位が「大きすぎる」原因は何か?
  ・広域化を当然の前提にしない

 (2) 公害防止協定の危険性と欺瞞性
  ・公害防止協定の法的意味
  ・当事者は誰か?
  ・公害防止協定に実効性はあるか?
  ・具体的な事例から考える 
     当事者を誤った協定~個々の住民に「権限」がない
     無内容な協定
     違反事実の認定とその方法が決められていない
     施設の維持管理データ、財務データの開示、住民の常時立入権
     臭気測定、大気測定、土壌測定などに関連した誤り
     施設の停止その他の措置と「決定権」
  ・運営協議会方式について

 (3) 実効性のある協定は、可能か?
  ・締結するのを相手が嫌がるような内容にする

 (4) これからの住民運動の課題
  ・残された時間は?
  ・いくつかの事例から
   長野連合の場合、東御市の場合、東京都23区の清掃工場の場合、エコループの場合、長崎県琴海町の場合、千葉市三角町の場合、日の出町の場合、豊科・阿智の場合、明野の場合・・・

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