ゴミ弁連会長の梶山正三弁護士の話に基づいて、「協定を検討に当たってこれだけ気をつけましょう」と言う内容でビラーを作り、当該集落に配っています。またそれぞれの区長にも、梶山先生が11月18日に富士見で行った講演のDVDも渡してあります。
画像をクリックすると、PDFファイルが開く。
ここにもビラーの内容を載せます:
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ちょっと待てやい!その公害防止協定で本当に大丈夫?
私たち「八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワーク」は富士見町休戸で計画中の灰溶融施設が多くの危険と無駄をもたらし、灰の減量効果も薄く、成果物であるスラグも環境を汚染する恐れがあるという事から、できたら施設を作らない方がよいと思っています。どんなに強力な公害防止協定を結んでも、安全性が保障される可能性は、ほとんどありません。しかし公害防止協定さえ結べば安心だと考えている方のために、これだけ気をつけないと、協定を結んでも全く役に立たないと言う注意点をここにまとめて見ました。この内容は11月18日に富士見町で講演を行った梶山正三弁護士のお話に基づいたものです。梶山先生は「たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす100人の弁護士の連絡会』(通称「ゴミ弁連」)の会長であり、理学博士でもある。廃棄物処理をめぐる訴訟を数多く手がけてきた、公害防止協定についての第一人者です。 (つづく)
これだけ気を付けて見て下さい:
• 協定当事者は誰?
協定当事者は「町」や「区」ではなく、住民自身でないと、協定違反の事実に対して住民は何もできない。「住民と事業者だけで結ぶのが本則だ」(梶山弁護士)
• 組合は住民の立入調査権に条件を付けている?
「担当者と一緒」や「事業者の業務に差し支えないように」、「事業者が認める者」などの条件が付くと、事業者にとって都合の悪い人は立ち入りできない。立入調査権に条件が付くと、効力を失う。
• 協定違反事実の認定方法は明記されている?
「例えば風速5メートル以上の風が10分以上続いた時には、その日は搬入を停止すると、(東京日の出町の協定に)こう書いてあります。それで台風が何回来ても、彼らは風速5メートルを超えてないと言い張るんですね。そこで水掛論になっちゃって、違反しているのかどうかという入り口でつまづいてしまう。事業者と住民の意見が一致しない場合に備え、(それぞれの項目)の認定方法を入れなければならない。あるいは仲裁規定と言うが、認定できる第3者機関を必ず作る。第3者機関の認定には必ず従う、という事を入れなければならない」(梶山弁護士)
• 協定違反判断の基準は「基準値」となっていますか?
重金属やダイオキシン類似物質など、ほとんどの有害物質について基準値がないので基準値を守っていても意味がない。また現行のダイオキシン測定法は極めて不十分で、基準値を守るのにいくらでも操作できる。そう言う意味で、協定違反判断の基準を「基準値」に求めないことが大事だ。
• 違反に対する措置には強制力はある?
2002年3月に福井県敦賀市の産業廃棄物処理場の公害が発生した際に、住民は「廃棄物の撤去」と「損害賠償」を敦賀市長に求めましたが、市長の答えは「公害防止協定は、紳士協定であり、法的強制力はない」。公害防止協定は紳士協定(=相手を信用してする口約束)であっては意味がない。後で裁判所に行っても、紳士協定だとは言われないように、「協定を作った時に違反事実を第三者機関に認定させて、それに対して強制執行認諾という条項を入れる」(梶山弁護士)
• どう言う報告義務、データ開示義務になっていますか?
「水質・大気等の検査報告では役に立たない。大気と言うのはその日の気象条件によって違う。大気はそのときの気象条件、風向き、煙の上がり方で常に変動する。月に一度測ってそのときよかったでは話にならない。単純に測った結果を報告させても意味がない。」(梶山弁護士)
• 業務日誌備置と随時閲覧は明記されている?
「業務日誌を備えおいていつでも誰でも見れるようにする。これも絶対に必要だ」(梶山弁護士)
• 定期協議、随時協議の規定は入っている?
定期協議、随時協議の規定を入れる。業者と少なくとも二週間に一度、顔をつき合わせて管理運営の方法、住民の被害を少なくても2時間ぐらいは話し合いの機会を設ける。随時協議とは必要に応じてどちらかが求めた場合、もう一方は必ずそれに応じなければならない。(梶山弁護士)
• 協定締結前に必ず専門家のチェックを
協定を作って後で泣くのは、法律家に見てもらっていないため、協定に実効性がないからだ。「実効性があるだけの案を持っていくと、相手が嫌がります。
相手が嫌がるくらいものもではないと意味がない」(梶山弁護者)
これも条件としましょう:
• ダイオキシン測定のための長期連続採取システム*
組合は施設の排気ガスについて「国よりも大変厳しい自主基準」を設定したとしながらも、排出される危険性が大である重金属類や、ダイオキシンよりも毒性が強いダイオキシン類似物質は基準に含めていない。肝心のダイオキシン測定法に関しても、「国の基準に従って実施する予定です」と言う。国の定める方法だと、(1)届出はわずかに年1回だけ、(2)測定は燃焼が安定した1時間以上経ってから4時間以上測定すれば足りる、(3)最も低い値を届け出ればよい。この基準だと、事業者が測定業者を選定して委託するので低い値が出るまで何度も測る危険もあり、検査用の灰を溶かすことによって低い数値を出すことも可能となる、などの重大な問題があり、誰が見ても不十分だ。
ところが、ガスを最長1ヶ月の間に連続的に採取し、その平均値を年十数回割り出す技術が確立されており、ベルギーやドイツでは採用が義務化されている。日本でもすでに4台が導入されている。組合は国の現行法より遥かに精度も高く、結果をごまかしにくいこの長期連続採取システムの導入を、住民から言われなくても検討するはずだが、説明会で問いただしたところ、その存在すら知らなかった。
長期連続採取システムは導入コストは安くないが、灰溶融炉の耐用年数で割れば、大したお金ではありません。人の命に値を付ける事はできないし、「高くて導入できない」ということは絶対にありません。
地元住民の安全と安心を本気に考えているなら、公害防止協定に長期連続採取システムの導入を条件とした場合、それを受け入れるはずです。逆に受け入れない場合、信頼できる相手ではないということがはっきりする。
* 例えば「アメサ」。国内代理店のHP: http://www.greenblue.co.jp/services/ex_amesa_01.html
資料をご覧になりたい方は連絡ください。
• スラグの最終利用の詳しい記録と、汚染に対する損害賠償責任の明記
灰溶融施設の「成果物」であるスラグも多くの危険性を含んでいる。灰を溶融することでできるガラス状のスラグは、道路工事の路盤材や埋め戻し材などに使い、「リサイクル時代」に貢献すると言う。これこそが灰溶融施設の存在理由だが、下手するとアスベストの二の舞になりかねない。なぜならスラグは鉛やヒ素など、多くの有毒な重金属を含んでおり、それが日本各地に現在も降っている酸性雨によって溶出する可能性が大いにあるからだ。今年の7月にはJIS規格も決まり安全だと言うが、その規格は酸性雨を全く考慮していない。広島県保健環境センターが行った実験では、酸性雨の条件下では多くの鉛が溶出している。中国の経済発展で、西からの大気汚染が増し、日本に降り注ぐ雨はどんどん酸性になっていくはずだ。公共工事などで地域中にばら撒かれたスラグによる土壌汚染、地下水汚染は地域住民の健康を蝕み、財産である土地をも台無しにする可能性がある。しかし、ここでも組合は住民より事業者の都合が優先され、本質的な汚染防止策とは程遠いまやかしの基準を盾に公共工事でのスラグ利用をもくろんでいる。
そこで、住民として公害防止協定の条件として求めるべきものは基本的に二つあります:
(1)万一のスラグによる土壌汚染・地下水汚染に備え、組合が生産したスラグが最終的にいつ、どこで、どれだけの量、どういう風に使われたかと言った記録を取ること。
(2)万一のスラグによる土壌汚染・地下水汚染が確認された時、汚染除去と被害を受けた住民に対する損害賠償の責任を明記すること。
これだけ覚えておきましょう:
• 協定を結んで施設を作らせるより、建設を反対して作らせない事が一番安心。
そもそも不要で危ない施設です。地元の住民が結束して建設を反対すれば、絶対に止めることはできる。
• 信頼できない相手は必ず協定破りをする。
この計画は、平成14年ごろから検討が行われていたにも関わらず、私たち住民に計画の説明がなされたのは、今年の5月、6月で、工事着工が予定されていた平成18年8月のほんの数ヶ月前だった。組合から出された資料も都合の良いものばっかりで、公開質問状に対する回答は極めて不十分だ。予定地も「第一候補地」と位置付けながら、「第二」「第三」はなく、最初から休戸で作ることが決まっていた。こんな組合を、公害防止協定を結ぶ相手として信頼できるか、よくよく考えてください。
• 協定締結前に必ず専門家(法律家)のチェックを。
それも、組合お奨めの弁護士ではなく、ゴミ弁連に相談しましょう。
TEL: 0246-24-2340 HP: http://gomibenren.jp/
* 組合の案は何枚?「実際に私が頼まれて作ったものはかなり膨大。A4で40ページほどになる」(梶山弁護士)
組合が嫌がるぐらいの内容でないと、協定を結ぶ意味がない
「八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワーク」発行 TEL: 0266-79-6977 小林峰一 http://yoyuro.blogspot.com/
2 件のコメント:
落合地区でチラッと聞いた話だが、どうも梶山先生の講演会に対して組合は「戒厳令」を敷いたようだ。落合地区の区長たちに「反対派の講演会に出ると洗脳されるから、行くな」と言うようなことを伝えたらしい。
そうか、それで落合区の構成区の役員の顔が全く見えなかったか。組合に脱帽です。洗脳なら、反対派よりずっと腕が上ですね。
(組合が今まで発信した情報からも洗脳が得意と言う事はすでに分かっていたけどね...)
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