2006/12/07

灰溶融炉は要らない!富士見町・原村・茅野市の住民運動について (kaisetsu)

環境会議諏訪の「月間環境会議通信」にこの間、灰溶融炉を考える会の呼びかけ人の一人である原村の小林峰一さんが書いた記事が載っていた。大分時間が経ちましたが、こちらでも、私たちの声を代表する意見として載せたいと思います。

灰溶融炉は要らない!富士見町・原村・茅野市の住民運動について   小林峰一

 「住民運動は民主主義の学校のようなもの。理念を掲げ、話し合いを繰り返してコンセンサスをつくる。腐った行政が一番怖がっていること。そして、良心的な行政マンが心待ちにしていること。議会が変わり、人々が自信を持ったとき、地方自治が変わると信じている。地方が変わることが、ごみマフィアや官僚にとっては一番怖い。だから、彼らはNPO法人登録制度をつくり、広域連合や道州制をつくろうとしているのだと思う。民主主義の芽を摘む、それが権力者の性(さが)かもしれない。」
 これは、私たちがお世話になっている関口鉄夫さんから教わった言葉です。富士見町・原村・茅野市の有志による灰溶融炉を作らせないための住民運動は、もうじき1年を迎えます。現地に足を運び自分の目で確かめることや地域の住民と直接会って話しをすることは、運動にとって大切なことだと思います。
 私たちは、最近、地質と水に関する調査を行いました。9月30日と10月8日の2日に渡り建設予定地周辺の地質について信大副学長、小坂共栄教授(地質構造学)の全面的なご協力を得て踏査を行いました。また、10月15日には、住民有志により休戸と花場の集落内で聞き取り調査を行い建設予定地の近くにある水源を見てきました。

小坂共栄教授との1回目の地質調査、程久保川にて


2回目の地質調査後、結果を説明する小坂先生

 地質に関する調査では、建設予定地の横を流れる程久保川と少しはなれた武智川に沿って調査を行い、加えて釜無川沿いの道路に面した露頭についても調べました。河床や護岸部分に露出した地層から、地層の向きや傾斜、地質の状況などを知ることができました。一帯は火砕流と土石流による堆積物が重なったような地質であり、その中に断層が何本も走っていることが確認できました。さらに、この断層は、糸魚川―静岡構造線(活断層)と同じ方向であることから活断層の可能性が高く、建設予定地は、このような断層帯の上に位置していることがわかりました。このような場所を唯一の候補地としている灰溶融炉の計画は、住民の安全を無視した計画であると言わざるを得ません。
 水に関する調査では、富士見町内の約3分の1に給水されている第1水源を見ました。この水源は、白谷川と程久保川から取水しており、予定地から1.6㎞しか離れていないため施設が稼動した場合には、施設から大気中に排出されるダイオキシンや重金属の影響を受ける可能性があります。また、花場地区と休戸地区に給水している花場水源(湧水)は予定地から650mしか離れておらずさらに深刻です。聞き取り調査の際に花場集落の人が、花場ではガンで亡くなる人がとても多いと言っていたことが気になります。建設予定地では、以前焼却施設が稼動しており、今後、健康調査などを行い確かめる必要がありそうです。

白谷程久保遂導

富士見町の水源を探る
 灰溶融炉は、焼却灰の減量化を目的として計画されました。しかし、メーカーから示されている設計書を見ても減量効果が殆どないことが明らかです。溶かした灰を冷却して作るスラグは、路盤材や埋め戻し材としてリサイクルする計画ですが、酸性雨などにさらされた場合、スラグからは、鉛や砒素など有害な重金属類が溶け出すこともわかっています。建設費23億円、年間の運営費3億円を掛けて行うこの計画は、健康被害や税負担の面で住民を苦しめるだけで全く意味のない事業です。私たちはこのような計画を容認するわけには行きません。最近、地元の方たちが運動に参加し始めました。チラシを配りながら話しをすると、多くの人がこの施設は要らないと答えます。地域の自然は私たちだけのものではありません。ご先祖様から一時的に預かっているだけです。子や孫の世代に安心して暮らせる環境を残すことは、現代を生きる私たちの責任ではないでしょうか。この機会に、身近な問題として考えていただければ幸いです。

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