2006/12/09
焼却溶融施設計画に疑問:長野日報への投稿掲載
メンバーである富士見町境地区のジェルミ・エンジェルさんが長野日報に送った投稿は今日の新聞に掲載された。本人の了承を得て、原文をここに載せます。
焼却溶融施設計画に疑問
茅野、富士見、原の三市町村でつくる諏訪南行政事務組合が富士見町の休戸を予定地として進めている焼却灰溶融施設の建設計画に多くの疑問を感じる。(つづく)
まず予定地の地質だ。組合自らの生活環境影響調査では、その地質が「脆弱」で「山地災害を起こしやすい地形」だとされているにもかかわらず、組合は詳しい地質調査もせずに「安全だ」と一点張りだ。地質の第一人者である信州大学の小坂共栄教授と共に有志で行った調査では、数多くの断層が見つかり、活断層である可能性も高いことが分かった。大地震が起きた場合、灰溶融施設は周囲地域に大きな被害を起こしかねない。候補地の選定からして住民の安全を無視した、極めて無責任な計画だと言わざるを得ない。
さらに心配なのはダイオキシンや重金属などの有害物質による環境汚染だ。組合は施設の排ガスについて「国よりも大変厳しい自主基準を設定した」としながらも、排出される危険性が大である重金属類や、ダイオキシンよりも毒性が強いダイオキシン類似物質は基準に含めていない。肝心のダイオキシン測定法に関しても、年一回、わずか四時間という国の極めて不十分な測定法に従うという。はるかに信頼性の高い測定技術がドイツやベルギーで義務化され、日本にもすでに導入例があるが、採用意向を聞いたところ、祖合はその存在すら知らなかった。
灰溶融施設の「成果物」であるスラクも、道路工事の路盤材や埋め戻し材などに使い、「リサイクル時代」に貢献するというが、アスベストの二の舞いになりかねない危険性がある。なぜならスラクは鉛やヒ素など、多くの有毒な重金属を含んでおり、それが現在も日本に降り注ぐ酸性雨によって溶出することは公共機関の試験で証明済みだ。スラクによる土壌汚染、地下水汚染は地域住民の健康をむしばみ、財産である土地をも台無しにする可能性がある。しかし、ここでも組合は国の基準を盾に公共工事でのスラク利用をもくろんでいる。
「それでも必要だ」と言う声を聞くが、四年間でわずか亘二十六日間しか稼働していない山梨県大月市の灰溶融炉に似た例が全国にたくさんあり、灰の減量効果もあまり期待できない。事故や故障も頻繁に起こり、財政面でも多くの問題を有している。
今、最も必要なのは製造者責任制度の導入によるごみの発生抑制と、生ごみ分別・堆肥(たいひ)化など、ごみを「資源」とする徹底した有効利用の確立だ。これが次世代への私たちの義務である。灰溶融炉はその義務を果たすのではなく、多くの危険と無駄をも含めた、時代に逆行する施設だ。組合が「何か何でも休戸に作るんだ」という強行な姿勢を改め、私たちの子どもや子孫のための本質的な解決策に取り組むなら、住民は協力を惜しまないだろう。
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