2007/02/21

灰溶融炉建設は、いったい何のため?(その3)(kaisetsu)

小林桂子さんは環境会議・諏訪の「月間環境会議通信」(2007年3月初め発行)に掲載される「灰溶融炉建設は、いったい何のため?」の3回目の原稿をいち早くここで掲載します。
小林さん3回目を次のように締めくくっています:
「それにしても、私たち「ごみ問題を考えるネットワーク」だけではなく、建設予定の地元、休戸区、花場区、大武川区が建設の反対を示しているというのに、もうすぐ、4月に任期の切れる組合長や組合議員が、住民の反対を無視して、強行的に建設決定を下すなんてことが、もし、あるとしたら、今の時代、許されるのだろうか?
この際、住民の健康、財政、環境を考えて、灰溶融炉は中止にして、対立をやめ、仲良く、公民協働で真剣にゴミのことを考えていけたら、さぞ理想的な地域になることだろう」
全く同感です。なお1回目2回目もぜひ読んでください。
ついでに、地元地区の反対について、富士見町町議のエンジェル千代子さんも書いていますので、これもぜひ読んでください。


以下は小林桂子さんの文章です。
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(その3)  コバヤシケイコ

 2月17日のデモは、参加者50名、前回より小軍団になったが、若手のジャンベ隊の活躍は、すごかった。人気のない静かな茅野駅前通りをかなり盛り上げてくれた。今回撒いたチラシは120枚、でも誰ひとり「灰溶融炉」という言葉すら知らなかった。そして、「ゴミ問題のことです。」と手渡そうとしても、拒否されるケースも多々あった。多くの市民は、自分の出すゴミのことなど、関心がないのだろう。

また、灰溶融炉の話しをすると、少なからずの人から、「だって自分たちでもゴミは出しているからねえ」という返事が返ってくる。自分の出したゴミが、どこでどのように処理されて、環境にどのような影響を与えて、最終的にどこに行ったのか?そして税金がいくら使われたのか?などということは、だれも考えないのかもしれない。そういえば、食べ物だって、そうだ。自分の食べている物が、どこでどのように作られてなんて、興味がないのが普通かもしれない。でもいくら普通とはいえ、見えないものが怖いことだと気づき始めているのではないだろうか?
 私は、普通ではないので、生きるうえで一番大事な食べ物には、すごく興味があるし、自分の生活から出るゴミにも、いつも疑問が残っていた。だから、今回は、この問題でいろいろなことを知ることが出来て、感謝すべきなのかもしれない。
 例えば、各家庭で45リットルのゴミ袋を1袋、ゴミステーションに出した場合、回収、中間処理、最終処分場などの施設費まで含めると240円かかっているという。いや、管理型最終処分場などは、たった十数年分のゴミの灰なのに、毎年5000万円かけて今後700年は管理していかなくてはならないというから、実際はそれどころの額ではないだろう。なのに、多くの人は、ゴミ袋代1枚30円ほどの意識しかないのではないだろうか?
でも、それは、当然のことなのだ、知らされていないのだから・・・。行政や組合はそういったゴミに関する情報を殆ど住民に説明してこなかった。ゴミ減量の啓発をすることもなく、一番安易な選択肢の灰溶融炉を選んだ。もしかしたら、今頃、莫大なお金がかかり、危険性のある不完成の技術だと気がついているかもしれない。或いは、灰溶融炉導入は、最終処分場の延命にはならないかもしれないと、かなり不安を持っているかもしれない。
最近のニュースでも、「岸和田市では、灰溶融炉の稼動を前に、年間維持費が10億円に訂正されて、財政難の折、運転はかなり厳しい」とか・・不安をあおる。でも、実際は、殆どの事故、故障は、ニュースにはならない。市や施設側は、通報も公表もしたがらないのだ。現に静岡市の灰溶融炉爆発事故では、消防に通報したのは、爆発30分後、近くの住民だったという。なんと、市は稼動3ヶ月で炉内耐火物が9割もすり減っていたと、想定外の事故を強調している。
先日、ゴミ問題に詳しい岩佐恵美氏の講演会が富士見町であった。その講演の中で、「あちこち見学に行ったが、行く先々で、休炉していた。炉中に、大きなマリモや大蛇みたいな物体ができていたり、巨大な撹拌棒が折れたりで、原因は驚くことばかりです。」と言われた。やはり、想定外のことは未完の技術なのだから、あって当たり前なのだろう。
4月から、廃プラの分別回収が始まれば、3市町村のリサイクル率は、ますます開きが出てくるだろう。小さい自治体と大きな自治体と、どっちが有利だろうか?(それにしても合併しなくて本当にヨカッタ。)
 富士見の端っこに建設されようとしている「灰溶融炉」は、ハッキリ言えば、全体の76%のゴミを排出している茅野市のために造るようなものだ。その肝心の茅野市が、ゴミ減量化政策を真剣に考えていないことは、大きな問題だ。これから原村のゴミは劇的に減るかもしれない。だけど原村のゴミ排出量は、全体のたったの7%でしかない。
岩佐氏は「行政と住民の信頼関係が一番大切だ。住民が主体となって協力しない限り、ゴミ問題は解決しない。トップダウンは最悪だ。拡大生産者責任(製造者責任)も不可欠だ。」と締めくくられた。これから始まるゴミ減量化競争、原村で、私たちも大いに協力をしたいと思う。
それにしても、私たち「ごみ問題を考えるネットワーク」だけではなく、建設予定の地元、休戸区、花場区、大武川区が建設の反対を示しているというのに、もうすぐ、4月に任期の切れる組合長や組合議員が、住民の反対を無視して、強行的に建設決定を下すなんてことが、もし、あるとしたら、今の時代、許されるのだろうか?
この際、住民の健康、財政、環境を考えて、灰溶融炉は中止にして、対立をやめ、仲良く、公民協働で真剣にゴミのことを考えていけたら、さぞ理想的な地域になることだろう。

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