2007/01/06

灰溶融炉建設は、いったい何のため?(kaisetsu)

環境会議・諏訪の「月間環境会議通信」(2007年1月初め発行)に小林桂子さんが灰溶融施設の意義に疑問を投げかけています。八ヶ岳周辺のごみ問題を考える会のメンバーでもある小林さんの了承を得て、下記に同文章を掲載します。
灰を溶融化によってその容積を減らす事が灰溶融施設の一番の目的なので、その効果のほどはもっとも大事なテーマだが、それと別に、小林さんが指摘する笹原の最終処分場の覆土問題にも注目したいです。もしも諏訪南行政事務組合が法律で義務付けられている覆土を行っていなければ、灰溶融施設の運営をさせることは益々不安です。
これを含めて、組合に聞きたい事、説明してもらいたい事はまだたくさんあります。前回の説明会からそろそろ3ヶ月になりますが、組合から次の説明会の予定は未だに発表されていません。矢崎組合長は「説明責任をきちんと果たす」と繰り返し言ってきましたので、次の説明会をなるべく早く開いてもらいたいです。

以下は小林さんの文章です。
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灰溶融炉建設は、いったい何のため?      コバヤシケイコ

 諏訪南行政事務組合が計画している灰溶融炉に関する勉強会、活動を始めて、ちょうど1年になる。いろいろと知れば知るほど、危険で、無駄なもので、環境には最悪で、莫大な財政負担を強いられるという救いようのない施設だということがわかる。それなのに、建設中止に持っていくことが難しい。つまり、この問題は、日本社会の悪しき仕組み(国庫補助依存体質、製造者責任の欠落、次世代や他地域、地球規模への配慮の欠落、新技術の過信、談合問題、使い捨て社会、市民不在のゴミ政策)にしっかりと、はまり込んでいるからだ。

 組合が示す灰溶融炉建設の目的は、もうすぐ最終処分場が満杯になるので、それを掘り返して、溶融することにより減容化を図るということだ。当初の計算では、溶融すれば体積が10分の1になるというメーカーの触れ込みだったらしい。だから、溶融して再び埋め戻しても、数十年分は延命できる計算だった。しかし、実際に稼動を始めた施設を見てみると、あまり減っていない。ゴミ弁連の梶山弁護士の講演会の中にも「今の焼却炉は、それなりに性能がいいので、燃え残しがあまり出ないため、溶融しても減容効果はあまりない」ということだった。
 そして今、組合側は、溶融して出来たスラグを最終処分場に戻さずに、公共事業で路盤材などに使うので、最終処分場の延命はできると言っている。だが実際は、製品スラグにならないものがかなりある。溶融不適物と溶融飛灰は、最終処分場に戻すことになっていて、あるメーカーの資料では、埋め戻しの割合は全体の4割以上になる。そして出来損ないスラグなども、結局は埋め戻すことになるだろうから、仮に、製品スラグが全部販売できたとしても、結局は、よくて10年位の延命にしかならないのではないだろうか?つまり、10年後には、また、最終処分場の問題が、どこかで持ち上がるのだ。新しい最終処分場ができるまでには、10年かかると言われているのに・・。
また、逆に心配なのは、強アルカリ性の不安定なスラグが、路盤材に使われたとき、近年ますます深刻化する酸性雨に耐えられるのだろうか?また、車の往来により、道路は少しずつ削られ、スラグに含まれる猛毒の重金属が空気中にばら撒かれることになる。
そんなに、危険性が疑わしいのなら、「やっぱり、無理して使わないで、最終処分場に戻そう」ということに、普通はなるはずだ。しかし、そうすると目的の最終処分場の延命は、まるきり果たさないことになる。それどころか、溶融炉安定稼動のために、石灰などの薬剤をかなり投入するので、逆に増えてしまう結果になりかねない。そんなバカな・・・。
そんなバカな話しが、まだある。溶融炉の建設費がベラボウに高い。日本での相場が1t当たり5000万円だそうだが、海外で同じメーカーが同じ施設を造ったときには、その半値(2500万円)が相場になるという。そして、我組合の見積もりはというと、1t当たり1億~1億5000万円だから、一体どうゆうこと?梶山弁護士が、何人かのメーカーの人にこの値段を聞いたら、信じられないと言っていたそうだ。(もしかしたら、ヨダレがでていたかも・・)
また、梶山弁護士によると、ここの最終処分場は、とてもお粗末で、今時めずらしいそうだ。茅野市笹原にある最終処分場は、平成16年に満杯一歩手前になり、残余年数を残したまま、平成17年からは、焼却灰は全て富士見町休戸に運んでいる。本来は、満杯になると、最終覆土が義務付けられ、土を1m以上被せなくてはならない。それを逃れるために、満杯にせず、数年間は雨ざらし覚悟という感じだ。さらにひどいのは、即日覆土は一切実施していない。危険な灰は風に飛ばされ、汚水は川に落とされ、諏訪湖へと流れている。それもこれも、灰溶融炉を見込んで、土と混ぜない方が、作業上、スムースに運ぶからなのか?とにかく、住民の安全を無視している違法行為だ。
そんな組合が、近日中に、建設予定地周辺の地元関係区と公害防止協定を結ぼうとしている。機種も決まっていないし、第一、住民説明会もまだ終わっていないのに・・・。ひどい話しだ。協定内容もお粗末だが、周辺地元の区民で構成する「地元委員会」を設置して、そこで話しを聞くという。つまり、我々のような反対意見を言う一般住民を蚊帳の外に追いやろうとしている。

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