2006/04/02

灰溶融炉とは (haiyoyuro)

(これは旧サイト:http://www.lcv.ne.jp/~yamamom/sub2.html からのコピー)

灰溶融炉って何なの、安全なの?役に立つの?
富士見町の休戸地区に、ゴミの灰の焼却施設の建設が予定されています。このままだと平成18年に着工し、平成20年4月から運転を行う予定です。自治体が事業に関わるにもかかわらず住民への十分な説明は行われなかったようです。

灰溶融炉とは?
灰溶融炉とはゴミの焼却灰を1200度以上の超高温で(鉄を溶かす溶鉱炉みたいな原理)一気に溶かし、焼却灰の半分から三分の一の固形物(大粒の砂状でスラグと呼ばれます)にしてしまう技術と事業者側は説明しています。そのスラグは処分場に埋めるのではなく、路盤材やタイルに再利用ができると言われています。富士見町に建設することで、原村、茅野の焼却灰も受け入れて処理することで計画が進んでいます。

既存の灰溶融炉施設の実績は?
約15年前から建設されており、1998年から2003年の5年間で約80箇所で溶融施設が建設されています。各施設で火災や爆発事故が起きており、排出されるガスからも想定値以上のダイオキシンなどの有毒ガスが周辺地域に排出される事故が起きています。
ゴミの溶融炉は技術的に連続稼動と安定操業が困難であり、15年の経験を経た現在の技術でも100日以上連続運転を達成した施設はありません。
また、事業者の説明では焼却灰の半分から三分の一のスラグになるという説明がされていますが、実際にはあまり小さくならず容積が増えるケースもあり、資源として再利用ができると言われていますが、実際には費用を支払って事業者に引き取ってもらっている自治体もあります。

周辺地域での不安事項は?
1. 他の市町村からも焼却灰が搬入されるためトラックの通行が増加する。
2. 溶融炉は安定稼動が困難なため高温を維持できず、ダイオキシン等を排出してしまう。              
3. ダイオキシン等の常時監視はなく、年に1回正常に稼動したときにしか行われない。
4. 日本や世界の各地で同様の施設の爆発事故・火災事故が頻発している。
5. 事故時には、密閉型の防護服で作業するレベルのダイオキシン汚染が起きている。
6. 日本の各地で操業差し止め運動や裁判が起きている。

ダイオキシンは、ごみを燃やすことによってできる史上最強の毒性をもった気体です。
サリンの2倍、青酸カリの約1000倍の毒性を持つダイオキシンは、たった1gで一万人を殺傷することができます。ゴミ焼却施設から大気中に大量に放出され続けた結果、日本は世界一ダイオキシン濃度が高く、欧米の10倍以上にも達しています。WHO(世界保健機関)の国際がん研究機関(IARC)は、1997年6月にダイオキシンをヒトに対する明らかな発がん性物質であると発表しました。

なぜ、富士見町は灰溶融炉施設を受け入れるのか?
1. 富士見町と茅野市(緊急)の埋め立て施設があと数年しか持たない。
2. 国(環境省)が、ごみ焼却施設は、灰溶融炉にすれば補助金を出すとして
新しい公共事業を市町村に押しつけてきた。
3. 事業の当事者が、既存の灰溶融炉施設で問題が起きていることを十分に理解していない。

富士見町には、「豊かな自然と住みよい環境と住民の健康で快適な生活を確保する」という目的で制定された環境保全条例があります。しかし、この条例では国や国に準じた組合などが行う事業については条例の対象から除外され審議されていません。

他の自治体ではどうしているのか?
環境省の灰溶融機能をつけなければ補助金の対象にしないとの方針に対し、全国都市清掃会議をはじめ各地の自治体が、「溶融固化設備なしの焼却施設についても国庫補助の対象とするよう」求めていました。
理由は、灰溶融施設は技術が未熟で、各地で事故が頻発していること、建設費用はもちろん、燃料、資材交換等の維持費用が従来の炉に比べて非常に高く、税金の住民負担が重くなることがあります。
さらに、溶融スラグの安定した利用先がなく、そのまま最終処分場に埋め立てることになることがわかってきました。
 こうした自治体の要求が高まるなか、環境省は2004年2月に事情がある場合には条件に固執しない旨を明確にし、国会でも「自治体の意見は十分に聞いて、これからも中身については検討していきたい」と、自治体の意向にそって柔軟に対応すると約束しました。

建設してしまった市町村では何が起きているのか?
全国で、爆発事故が起きており2003年に運転を開始した兵庫県の施設では2年間に27回もの事故を起こしています。
千葉県では、平成6年から運転した灰溶融施設が事故・故障の多発だけでなくメーカー側でも予期できなかった不都合や施設の構造上避けられない問題点の解決が困難なことから平成12年度末で稼動を停止しています。操業差し止め裁判なども各地で起きています。
静岡市の例
2004年の4月から運転を開始して約3ヶ月で炉内の耐火レンガが損傷する致命的な爆発事故が起きています。
静岡では、建設に60億円以上かかり、運転経費が公表されているだけで、年間2億5千万円かかります。そのうえ、事故時の修理代や、事故期間内の対応のためのごみ処理経費などを考えたら、税金の負担は大変なものになっています。
(「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワークのゴミゼロ通信2005年8月11日号より抜粋)
1.運転再開後の灰溶融炉は相変わらず、まともに動いていなかった。  今年1月は、わずかに動いたものの2月は完全停止、3月は能力最高に近い50t/日操業を1日記録したものそれ以後は不安定のまま、30t/日前後の処理を交代で運転という四分の一操業が実態だ。原因は不明ではあるが運転再開後半年経過しても試運転状態は、根本的な欠陥炉の可能性は否定できない。
2.灰溶融による減容効果は相変わらずほとんどない 灰溶融炉は焼却灰をスラグ(ガラス状の大粒砂状物質)化して、減容効果があるとされてきたが、昨年同様、ほとんどないことがわかった。
3.運転処理コストはトン当たり8万円のメチャ高 今回の資料も、相変わらずの不完全な運転(=試運転)状態であったので、不十分なコスト計算になる。しかし、少なくとも処理量に比例して使われる分だけでも、トンあたり5万円はかかる。仮に順調に行ってもトンあたり5万円は必要と思われる。ちなみに、焼却灰受入れ予定価格が3万円/トンである。
4.始まったスラグの公共事業への投入 情報公開資料によれば、製造されたスラグのほとんどは、沼上最終処分場へ持ち込まれていた。

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ごみ問題の解決のためには、いかに自治体のごみ量を減らしていくか、そのために住民と自治体がごみの実態をリアルにつかみ、どこをどうしたら量を減らせるかの道筋を明らかにし、協力して取り組んでいくことが欠かせません。どちらの努力が欠けても、なかなか解決の展望は見えてこないでしょう。

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