2008/07/19

土建業界にもスラグを使った偽装騒ぎ

どうも日本は数年前から「偽装王国」に化けたようだが、7月上旬に発覚して生コン偽装事件に溶融スラグが久しぶりに新聞に登場した:
時事通信:
生コン製造会社「六会コンクリート」(神奈川県藤沢市)がJIS(日本工業規格)製品として納入した生コンに、JISでは認められていないリサイクル骨材「溶融スラグ」を使っていたことが8日、分かった。

毎日新聞も:
同社の秋山広取締役営業部長は8日、取材に対し、混入の理由について「品質が良くなるうえ、リサイクルやエコ(環境保全)に協力できるのではないかと技術者が判断した」と釈明した。

2005年の耐震偽装事件以上に大変な問題になる可能性もある。スラグ入りの違反生コンが使われた工事は次々と見つかっている。16日には横浜で新たに3件が報道された:
生コン製造販売会社「六会コンクリート」(藤沢市亀井野)が砂の代わりに溶融スラグを混ぜたJIS規格外の生コンを納入していた問題で十六日、新たに横浜市内のマンションと介護老人保健施設の計三件で使用が判明した。いずれも工事を停止している。

 この事件について津川啓さんはブログ「循環型社会って何!」 で解説している。
先週明らかになった「生コンへの溶融スラグ使用」問題ですが、もともと溶融スラグはレッキとした廃棄物であり、これをJIS化したこと自体が間違いでした。

関連している話題として、不振続きの溶融スラグを食い物にするかのような商品を開発・発売する会社が現れたようだ。ハザマは溶融スラグのコンクリート膨張抑制剤を発売したようだ。「未利用の溶融スラグの資源化に貢献!」という見出しも付けて7月2日に発表しているが、「600トンで5億円の販売を見込む」というから、1トン約83万円。処理剤1トン当たりでどれくらいの溶融スラグを処理できるのかは不明。だけど処理剤1トンでスラグ10トンを処理できたとしても、スラグ1トン当たり8~9万円のコストがかかるわけで、そこまでしても「溶融スラグを使いたい!是非!!」という声があがるだろうか?特に生コン偽装発覚後では、かなり売りにくい商品だろう。。。

2008/07/16

検討委員会の性格について、環境会議諏訪が公開質問状

7月15日に環境会議諏訪の塩原俊会長と清水馨事務局長は茅野市・富士見町・原村広域ごみ処理協議会の会長である柳平千代一茅野市長を訪れ、同協議会が設置shたごみ処理基本方針検討委員会についての公開質問状を提出した。

(画像をクリックすると、公開質問状に移動)
公開質問状は特に委員長に選出された藤吉秀昭氏について:
委員長に互選された藤吉秀昭氏は、全国各地の焼却炉建設検討委員会や焼却炉の機種選定検討委員会の委員を歴任している方で、いわば全国で溶融炉を導入するための牽引役を努めている中心人物であると聞いております。
このような人物をわざわざ東京から招聘して、委員が検討する時間が無いまま、委員長に「選任」したことには、事務局の「特定の意図」を感ぜざるを得ません。

と指摘し、「この人事を見る限り、事務局がこの委員会の論議を「溶融炉容認」の方向に導こうと意図していることは明らかではありませんか。」としている。

2008/07/03

ごみ処理基本方針検討委員会委員名簿

ごみ処理基本方針検討委員会委員名簿 (H20/6/24 現在)は次の通り:

知識経験者
藤吉秀昭  工学博士 (財)日本環境衛生センター常務
奈良松範  工学博士 (学)東京理科大学諏訪東京理科大学大学院工学・マネジメント研究科教授
住民委員(茅野市)
河西允人  美サイクル茅野会長
演淳司   茅野市地球温暖化対策地域協議会会長
柳平昭平  有機物堆肥化研究会会長
伊藤正陽  農業(公募)
小林哲郎  保養所管理人(公募)
牛山晴一  前茅野市議会議員(公募)
住民委員(富士見町
駒澤吉郎  富士見町一般廃棄物減量等推進審議会委員
宮坂典利  富士見町一般廃棄物減量等推進審議会委員
宮川やよい 生活クラブ生協長野環境委員(公募)
エンジルジェルミ 翻訳業(公募)
住民委員(原村)
五味勇吉  原村保健衛生自治推進協議会会長
北田耕一郎 原村一般廃棄物減量等推進審議会会長
小林峰一  農業(公募)
設置規程第3条第2項第8号*委員
伊藤公夫  前茅野市議会議員
名取幸一  長野県A・コープ富士見店店長
五味光亮  原村商工会会長
行政委員
轟寛逸   長野県諏訪地方事務所環境課長
伊東松英  茅野市市民環境部生活環境課長
三井恵一  富士見町建設課長
日達 章  原村建設水道課長
西渾裕治  諏訪南清掃センター所長

委員会事務局
赤羽正義  茅野市市民環境部長(協議会事務局長)
金子明男  茅野市市民環境部生活環境課業務係長
小池正俊  富士見町建設課生活環境係長
鎌倉広司  原村建設水道課環境係長
五味正彦  南諏衛生センター所長
平出光   諏訪南清掃センター次長

* 設置規程第3条第2項第8号とは「前7号に上げる者(つまり知識経験者や住民委員)のほか協議会会長が特に必要と認める者5人以内」

公募枠委員の小論文紹介(2)

小林さんの小論文に続いて、富士見町の公募枠で検討委員会に入ったエンジェル・ジェルミの小論文を掲載します。

3市町村におけるごみの3Rと処理について   エンジェル ジェルミ

 昔から我が家で生ごみはコンポスト、その他の紙は資源物に回しているが、正確な数字を得るために、去年の3月から9月まで、すべての「可燃ごみ」、「プラスチック」、「生ごみ」と「その他の紙」の重さを計った。毎日の人数も記録を取り、データを分析したところ、次の二つの事実が判明した:
(1)我が家で1日1人当たりで排出される可燃ごみ(つまりごみステーションに出すごみ)の量は75グラム。これは茅野、原、富士見合わせての平均の6分の1以下ではないかと思う。
(2)「生ごみ」と「その他の紙」は全体(「可燃ごみ」+「プラスチック」+「生ごみ」+「その他の紙」)のおよそ7割を占める。これは富士見町の地区懇談会で挙げられた割合とだいたい一致している。
この結果が示すのは、生ごみとその他の紙をきちんと分別して、可燃ごみに入れないようにすれば、焼却炉行きは7割減るはずだという事だ。我が家でも、生ごみとリサイクル可能な紙をすべて分別しているからこそ、可燃ごみの排出を1日1人当たりわずか75グラムに抑えられている。
 言いかえれば、3市町村の平均である約500グラムという数字は、住民がごみステーションに出している可燃ごみの中に、生ごみと紙が未だにたくさん入っているためだ。よって、これからのごみの3R対策はまず、「生ごみ」と「その他の紙」の分別促進に焦点を合わせるべきだと思う。
 分別促進策として、「その他の紙」は徹底した啓発しかないと思うが、「生ごみ」は啓発とともに、分別処理のための体制作りも必要になる。
 啓発に関しては、富士見町を例に取れば、まだたくさんのことができると思う。たとえば有線放送は有効な手段だが、生ごみと紙の分別を中心としたごみの出し方についての呼び掛けを、少なくとも「犬の糞の始末」と同じぐらいの頻度で行った場合、かなり効果があるのではないか。同時にごみステーションや公民館、学校などの公共施設でのポースターの掲示、コミプラや役場ロビーなどに実際にどのように分別するのかの常時展示、町の配り物でのチラシなどによって、「しつっこいよ」と言われるぐらい、ごみ減量に対する町の強い姿勢を示すべきである。3市町村の首長も、資源物回収の手伝いや、自らの有線放送での呼び掛けなどで、その顔が見える形でごみ減量活動の先頭に立つことは大事だと思う。
 生ごみは、啓発もとても大事だが、それ以外のサポートも欠かせない。(1)庭先にコンポスターを置ける家庭なら、匂いやハエを抑えるための正しい使い方の啓発や、電気を使わない手動式バイオ型生ごみ処理機の利用促進、(2)庭のない家庭に関しては、たとえば下諏訪のように生ごみ収集や、小淵沢インターのやまとスーパーのように、スーパーなどで生ごみ処理機の設置を行政も積極的に支援すべきである。(やまとスーパーでは生ごみは買い物に使えるポイントにもなる。)
 常時受け入れを含めた生ごみの資源化体制作りは3R運動の中で一番お金のかかる部分だと思うが、可燃ごみの処理コストや環境面を考えると、十分に元が取れるはずです。今よりずっと徹底した啓発とともに、生ごみとその他の紙をきちんと分別し、いつでも受け入れる体制さえ作れば、かなりの改善が見込まれると思う。その過程で住民の3Rに対する意識も高まり、生ごみ分別も当たり前になる日がくるはずである。
 処理に関しては、たとえ可燃ごみを7割減らすことができたとしても、ごみは依然として発生するので、焼却施設とその灰を保管する場所が必要だが、その規模はうんと小さくなるはずだし、灰の量も少なくなる。環境面や原油高騰下の運営費の面から、灰の溶融化はもはや過去の技術と位置付けられつつあるが、金属類の枯渇に伴い、灰からほとんどの重金属を回収する技術も開発されつつあり、灰の一時保管の場所として山形村のサンクスBBのような屋根付き処分場も検討に値する。
 ここで詳しく触れるスペースはないが、ごみ減量のもう一つ非常に大事な面はごみの発生抑制である。またごみ減量推進会議の提言にもあったように、処理費を排出割にすることで、良い意味で3市町村の間にごみ減量競争が生まれ、大きな効果をもたらすはずだ。

公募枠委員の小論文紹介(1)

諏訪南行政事務組合の灰溶融炉建設計画の再検討に伴い、茅野市・富士見町・原村ごみ処理協議会が立ち上げられ、協議会において、ごみ処理基本方針検討委員会が設けられた。一部(6人)の委員は公募によって選ばれたが、その公募に当たって、応募者は「3市町村におけるごみの3Rと処理について」と言う小論文(40字詰めの原稿用紙4枚以内)の提出を求められた。(詳細:富士見町役場HP)協議会は提出された小論文の公開はしないということで、公募枠の複数の委員から、公開を希望してこちらに原稿を送りました。著者本人の希望であれば、公開はもちろん好ましいことであり、その第一弾として、八ヶ岳周辺のごみ問題を考えるネットワークの小林峰一さんの小論文をまず紹介します。

3市町村におけるごみの3Rと処理について               原村 小林峰一

 
地球温暖化が深刻さを増し、二酸化炭素の排出量が問題となっていますが、焼却大国日本では、ごみの焼却によって排出される二酸化炭素が3%を占めています。これまで、ごみは出るものとして、焼却や埋め立てにより処理してきた日本のごみ処理政策ですが、発生するごみ量の増大により、厳しい対応を迫られています。
 一方、ごみの減量化政策は、容器包装リサイクル法が、その費用負担の多くを、製造者ではなく、市民(自治体)に求めたことにより、地方自治体の財政を苦しめています。また、循環型社会形成推進基本法では、廃棄物処理・リサイクルの優先順位をリデュース、リユース、リサイクルと定めているのに、実際には、リサイクルから先に実行され、残念ながらリサイクルで終わっています。リユースやリデュースまで政策が進まない理由は、拡大生産者責任の導入が先送りされ、ごみ処理費用の大半を消費者が負担することになっているからです。その結果、多くの自治体では、焼却ごみが減るどころか、横ばいないしは増加傾向のままで、廃棄物処理費用の高騰が財政を圧迫しています。
 3市町村におけるごみ処理の現状も同じで、06年の状況では、可燃ごみが24957t/年排出され、増加傾向にあります。(対00年比で5.6%増)ごみの減量化については、10年までに、ごみの排出量を対00年比で20%減、焼却ごみに関しては25%減を目標としていますが、07年のごみ減量成果を見ても、3市町村全体で9,7%減(07年4月~10月末まで前年同期比)と、現状のままでは目標の達成が困難な状況にあります。
 このような現状を踏まえ、3市町村において、ごみの減量化(3R)をどのように進め、どのようなごみ処理を行ったら良いかについて考えてみます。
 減量化政策(3R)は、国の政策に振り回されることなく、現実的に、ごみが減る政策へ転換しなければなりません。資源物の分別収集(リサイクル)を徹底して行ない、焼却ごみの減量を図ることは重要ですが、リサイクルによる減量だけでは、財政負担が大きく、やがて行き詰まる可能性があります。よって、リデュースや、リユースを行うための仕組みを、条例や制度として早期に整備する必要があります。条例化の可能性として、①ごみの処理量に応じて負担を求める処理量割の導入。②事業系一般廃棄物の処理費用を現在より高く設定し、減量化を促す。③事業系一般廃棄物の全量を事業者処理とする。④一般廃棄物の処理ないしリサイクル費用について、事業者にも負担を求める。などが考えられます。まずは、処理量割の導入を急ぎ、自治体間に減量化の競争を促すことが必要です。
 ごみ処理政策は、発生抑制(ごみとなるものを製造・販売した業者に対して、廃棄までの責任を求めることで、ごみを発生段階から出さないようにする=リデュース)と排出抑制(ごみの中から、資源となるものを分別し再生する=リサイクルや、ごみにしないように繰り返し使用する=リユース)を真剣に行った後に、それでも残るごみをどう処理するかという考え方が必要です。その場合、現在稼動している焼却施設をできるだけ長く使い続けることが重要です。この焼却施設は、12年に耐用年数を迎えますが、焼却ごみの減量化が進めば、炉の寿命を延ばすことも可能です。建て替えが必要になった際には、同じ方式で、今よりも焼却規模を小さくする努力が必要です。焼却灰の処理については、現在行っている民間委託を継続し、その間に、浸出水が発生しない構造で、灰を保管しておく保管型の施設など、管理型最終処分場以外の方法についても研究を進める必要があります。
 いずれの政策においても、住民参加による政策づくりが大切ではないでしょうか。