灰溶融炉は要らない! 原村 コバヤシケイコ
平成19年12月2日に、弁護士の集団「自由法曹団」の皆さんが、灰溶融炉の建設予定地の休戸を視察した。これまで各地の環境問題、産廃などを扱って、どこも勝訴しているという頼もしい弁護士さんたちだ。その上、弁護士費用は奉仕だというありがたい助っ人。
裁判などというものの知識がまるでない私たちに、いろいろと教授してくれた。まず、茅野、富士見、原の住民なら誰でも起こせる「住民訴訟」。組合が、税金を灰溶融炉などというムダなものに使っているという、無駄な経費に対して訴訟するもので、1人でも出来て裁判所への印紙は1万円コッキリだそうだ。
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自由法曹団による富士見町休戸の視察。
マイクを持つ松村弁護士の解説を聞く参加者
三市町村には、住んでいないが、予定地の川向こうで被害だけは被る可能性の高い山梨県民ならば、近隣地区で被害を受ける人が起こす「差止訴訟」が出来る。
確かに、18億円で建設して、さらに稼動させるために、底抜けに、莫大なお金がかかる。通常稼動で年間3億円、故障や事故があれば、底抜けに出費する。それに対する費用対効果がどのくらいか?組合が言い張る売れるスラグが、もし売れなかったら、結局は、そのスラグの山をどこに置くのか?最終処分場に戻すのであれば、すぐに満杯になる。最終処分場があと数十年延命されるという目的で灰溶融炉導入すると言っているのに、もし、5年や10年で満杯になってしまったら、一体誰が責任をとるのだろうか?目的が達成できない上に、かなりの財政負担になる。
また、10年間で52億円かけるのであれば、他にもっと良い方法はないものか?「生活をすれば必ずゴミが出るから仕方ない」とヒトは言うけれど、生活スタイルだけでゴミが減る。生ゴミは自家処理、プラスチック類は資源回収へ、紙類全般、小さな紙切れさえも封筒に入れて資源回収へ、それだけで、我家の可燃ゴミは、1人1日160gになった。平均一般家庭の4分の1、つまり25%になる。これは、10年で満杯になる最終処分場が、40年持つということになる。よっぽど灰溶融炉導入より、優れているのでは?
「それは、理想論だよ」という声が聞こえてきそうだが、決して無理なことではない。日本人はかなり優秀だ。地球温暖化で消えていく島や環境難民、絶滅する動植物のことを思えば、誰だって、大量の使い捨てゴミを燃やすことに躊躇するだろうし、ましてやその灰を莫大なエネルギーを使って溶融する灰溶融炉なんてモノは、許せないはずだ。静岡市の灰溶融炉では、年間維持費の3分の1が燃料費だというから、諏訪南で計画する灰溶融炉も、年間数千万円から1億円の燃料代がかかるかもしれないのだ。それだけ余分に温暖化に拍車をかけるということになる。他で例がない掘り起こしなどしてまでもやる必要があるのだろうか?
最近のニュースで、平成19年11月に富山県高岡市の灰溶融炉の計画が取り止めになった。高岡地区広域圏事務組合議会は、「他の自治体での導入実績や建設費用、管理費用等の経済性、安全性、環境問題等について慎重に検討、協議を行った結果、灰溶融炉の事故の発生等や溶融スラグの有効利用が進んでいない実態を把握することができた。これを裏づけるように、近年、溶融を取りやめる動きが見られる。」と報告している。ここでは、放電型灰溶融方式の検討だったが、「我が組合では、別の溶融方式だから、問題ない」という声が聞こえてきそうだが、自由法曹団の松村弁護士は、灰溶融炉の構造がいろいろあるということは、逆に、技術が確立していないという証拠だと言いきる。
また、11月の通信で紹介した佐賀県の鳥栖・三養基西部環境施設組合のごみ処理施設を管理委託されている住友金属工業が、5年間の保証期間を過ぎたら、撤退をする意向を示した問題で、継続にあたっては、現在の2倍にあたる年間12億円の委託費を求めているという。
…やっぱり、灰溶融炉は要らない!
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