日本消費者連盟発行 消費者リポート 1380号 (2007年9月27日発行) 「わせだより」
(掲載許可取得済み。ありがとうございます!)
排気ガス中の水銀についてもっと詳しく伝えている「東京23区のごみ問題を考える」サイト:ご みの焼却処理は、ダイオキシン類の発生のほか重金属類の飛散が問題です。東京湾中央防波堤にある東京23区清掃一部事務組合の灰溶融施設が2007年5 月、一斉に止まりました。その理由は4月~5月、焼却灰スラブの溶出試験で、軒並み基準値以上の鉛が高濃度で検出されたからです。4月2日に2号炉で基準 値の2.1倍、5月21日に4号炉で最高96倍など、1週間ごとの試験で数十倍の基準値オーバーが続きました。
1号炉と4号炉が再開した とたんの9月7日、今度は排ガス中の水銀濃度が自主基準をオーバーしたため、10日に再び2炉とも停止。翌11日に、東京都による立ち入り調査を受けてい ます。最高では、9月9日に1号炉で自主基準の9倍の450μg/m3Nという排ガス中の水銀濃度を記録しています。
一般廃棄物の焼却灰を高温溶融するので安全ということだったスラグですが、実態は重金属まみれではないかと疑われます。今後、廃プラ焼却が本格実施されると問題です。
ところが、廃プラも焼却している東京・稲城市のクリーンセンター多摩川では、見学した人にスラブを小袋に入れて無料で分け、鉢植えの下に入れると水はけが良くなると説明しているというから驚きです。
中防灰溶融炉 排ガスから高濃度の水銀 運転再開のめど立たず
津川啓さんの記事も大変参考になります:
東京23区の灰溶融炉事情
この件についての東京二十三区清掃一部事務組合の発表は(PDFファイル):
中防灰溶融施設における排ガス中の水銀濃度が自主規制値を超過したことについて
重金属まみれのスラグは東京都に限ったものではありません。重大な爆発事故で知られている静岡市の灰溶融路でも、溶出試験で多量な鉛が出てきた。それも、pH5.6以上のとても弱い酸性条件で、日本に降り注ぐ酸性雨のpH5.0以下での現実に沿った溶出試験を行ったら、どんな数値が出るだろう。
諏 訪南行政事務組合の理事者も、一部の議員も灰溶融炉を「環境に優しいリサイクル施設」だと位置づけようとするが、現状はまったく違う。スラグを作る過程 で、多くの重金属を空中に吐き出すし(組合はそれを計るつもりはないのでどれだけ排出されるかは周辺住民には知る手立てがない)、出てくるスラグも重金属 まみれ。組合は、灰溶融炉を進める理由としてスラグが安全なリサイクル品として利用できると言っているが、上記の情報ではっきりしたのは、地域中の公共工 事に使うことは、鉛などの重金属をばら撒くも同然。 私たちはずっと前からこういうことを訴えてきたが、組合は「安全だ」と一点張りでちっとも耳を傾けてくれなかった。今回こそ、莫大な税金を投入する前に、 果たしてこの計画を進めるべきかをもう一度よくよく考えていただきたい。
2 件のコメント:
東京23区清掃一部事務組合が灰溶融炉2機の運転を停止し、現在も原因が究明できないことから運転の目処が立っていないなんて知りませんでした。
諏訪南が計画している灰溶融炉のことばかりに気を取られていたが、この情報により、すでに稼動している灰溶融炉にも多くの問題があることがはっきりとわかりました。
しかも、東京都で起こった事故だから全国の人が注目すると思います。
東京23区清掃一部事務組合は、灰溶融施設からの排ガスに対し自主基準を設けていることもわかり諏訪南の対応は遅れていると感じました。
注目すべき点は、排ガス中の水銀濃度が自主基準を超過した今回のトラブルで、管理者である職員が懲戒処分を受けていることです。
同じように、諏訪南の灰溶融炉も稼動した場合には、トラブルが続出し、職員が処分を受けることになるだろと想像がつきます。
今からでも遅くない、このような灰溶融施設はやめて、他の方法を考えようではありませんか。
コメントを投稿